『シェイプ・オブ・ウォーター』のネタバレ(あらすじ・ラスト)と感想

映画『シェイプ・オブ・ウォーター』のネタバレあらすじです!

 

第90回アカデミー賞の作品賞、監督賞ほか計4部門を受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』。

 

『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロ監督による、切なくも愛おしいロマンティック・ファンタジーです。

 

物語の舞台は、アメリカとソ連がしのぎを削る冷戦時代。声の出せない女性とアマゾンの奥地で神のように崇められていた謎の生物との恋愛をスリリングに描いています。

 

ヒロインを演じているのは、『ブルージャスミン』でアカデミー賞にノミネートされたサリー・ホーキンス。

 

彼女の同僚には『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』でアカデミー賞を受賞したオクタヴィア・スペンサー。心優しき隣人には『扉をたたく人』のリチャード・ジェンキンス。高圧的な軍人の役をアカデミー賞に2度ノミネートされたマイケル・シャノンが演じています。

 

今回はそんな映画『シェイプ・オブ・ウォーター』の詳しいあらすじやネタバレについて触れていきたいと思います。

 

※注意:結末ラストまでネタバレしていますので映画を見ていない方はご注意ください。

 

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シェイプ・オブ・ウォーター』のあらすじ

 

では、まずあらすじから。

 

これは声を失った王女の愛と喪失の物語

 

…そんなおとぎ話の語りとともに、映し出されるアパートの部屋の中。

 

アパートは天井まで水に浸かっており、テーブルや椅子などはユラユラと漂っています。

 

ソファには人魚姫のように眠るイライザ(サリー・ホーキンス)の姿が。目を覚ますと、そこはいつもの日常でした…。

1階が映画館という風変わりなアパートに一人で暮らすイライザは、アメリカ政府の機密機関である「航空宇宙研究センター」ではたらく夜勤の掃除係。

 

夕方に起きて、ゆで卵をつくり、バスタブの中で自慰をして、日めくりカレンダーに書かれた標語に目を通す。ブラシで靴を磨き、出勤の準備をするまでが毎日のルーチンです。

 

そんなイライザの首には傷痕が。声帯に障害があるため話すことができず、手話でコミュニケーションを。

 

隣人で画家の同性愛者のジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)とは、お互いの部屋を行き来するほどの間柄で、孤独なイライザにとっては数少ない友人のひとり。

ジャイルズに夜食の差し入れをして、2人でテレビの歌番組を観ながら曲に合わせて足でリズムをとるのが、出勤までの過ごし方でした。

 

仕事場までは公共のバスに乗って通勤。

 

深夜0時ギリギリにすべりこむイライザのために、タイムカードの前ではいつも、同僚で黒人のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)が順番をとってくれています。

 

 

時は1962年。アメリカとソ連が、宇宙開発でもお互いに相手を出し抜こうと火花を散らしていた東西冷戦時代。

 

ある日、航空宇宙研究センターに異動してきたホフステトラー博士(マイケル・スタールバーグ)率いる研究チームが、厳重な警備のもと、巨大なタンクを運び込みます。

 

 

研究室内を掃除をしていたイライザは、好奇心からタンクの中を盗み見してしまいますが、その中には奇妙な生物が泳いでいました…。

数日後、イライザとゼルダが男性トイレを掃除していると、電流の流れる警棒をもった軍人が用を足しに入ってきました。

 

彼は、奇妙な生物を警備するために派遣されてきたストリックランド大佐(マイケル・シャノン)でした。

 

それから数時間後、休憩中だったイライザとゼルダは緊急で呼び出され、研究室を掃除するよう命じられます。

 

掃除用具をもって研究室に向かうと、中から血まみれのストリックランドがよろめきながら出てきました。

奇妙な生物に指を噛みちぎられたらしく、左手の薬指と小指がなくなっていました。

 

血に染まった床を掃除していると、床には噛みちぎられた2本の指が。イライザは紙袋に入れて上司に渡します。

 

掃除の合間、イライザはふたたびタンクの中を覗きますが、中では胸から血を流した生物が苦しそうに泳いでいました。しかし、どこか神々しい姿に、イライザは心を奪われてしまいます。

 

翌日からイライザは、こっそりと「彼」に会いに行くように。

 

研究室内に設置された巨大な水槽のふちに腰掛けて、ゆで卵を差し出してみます。

 

そのゆで卵をおいしそうに食べる「彼」に、イライザは手話を教え、2人は少しずつコミュニケーションがとれるようになっていきます。

 

イライザは研究室にレコードプレイヤーも持ち込んで、自分の好きなレコードを「彼」に聴かせます。曲にあわせて楽しそうに踊るイライザを、「彼」はうれしそうに見つめていました。

単調だったイライザの日常が、鮮やかに色づきはじめていきました…。

 

友人のジャイルズも、イライザの変化をほほえましく思っていました。

 

そんなジャイルズも、街に新しく出来たパイ屋の男性店員に片想い中。パイの味はイマイチながらも、その店員に会いたくて足しげく通っていました。

 

その頃、ホフステトラー博士は、ソ連側の人間と密会していました。航空宇宙研究センターの見取図を渡し、奇妙な生物を盗み出す計画を企てます。

 

 

ホフステトラー博士は、奇妙な生物とイライザが意思疎通できることを目撃していて、この生物に大いなる可能性を感じていました。

イライザがいつものように研究室に行くと、「彼」は手足を鎖につながれ、全身に深い傷を負って倒れていました。

 

慌てて駆け寄り、助けようとしますが、研究室のドアが開いたため、イライザは物陰に身を隠します。入ってきたのは、ストリックランドら数名でした。

 

奇妙な生物がアマゾンの奥地で原住民から神として崇められていた生物であることを、視察に訪れた上司のホイト元帥に説明するストリックランド。

 

同席したホフステトラー博士は、人間を宇宙に送る前にこの生物を送ればソ連にリードできる、と提言しますが、指を噛みちぎられたことを恨んでいるストリックランドは、軍事利用のために生体解剖して研究するべきだ、と主張。

 

「当初の計画と違う!殺すべきではない!」とホフステトラー博士は必死に反論しますが、ホイト元帥はストリックランドの提案に同意し、奇妙な生物は生体解剖されてしまうことに…。

 

このやり取りを聞いていたイライザは、誰にも見つからないよう研究室を後にしますが、ホフステトラー博士には目撃されていました。

 

衝撃と怒りに震えながら帰宅したイライザは、ジャイルズに「彼」を逃がす手伝いをしてほしいと協力を頼みます。

 

しかし、ジャイルズは「そんなの無理に決まってる」「違法だ」と突っぱね、仕事に行ってしまいました。

 

親友のジャイルズに協力を断られてしまったことで落胆するイライザ。

 

「私たちにできることは2つに1つ。彼を救うか、死なせるか。もし助けないなら、私たちは人間じゃないわ」

 

廊下に出て、悔しそうに手話で訴えるイライザでした…。

 

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○『シェイプ・オブ・ウォーター』のラスト・結末(ネタバレ注意!)

 

以下、ネタバレ含みます。

 

 

ジャイルズは、書き直すように言われていたポスターをクライアントに届けますが、新たなポスターを見てももらえぬまま、仕事を切られてしまいます。

 

その足で、片想いの男性店員がいるパイ屋へ行き、彼に愚痴をきいてもらいますが、ジャイルズが同性愛者だと分かった瞬間に態度が一変。

 

「ウチは健全な店なんだ。もう来ないでくれ!」と追い出されてしまいます。

 

失意のままアパートに戻ったジャイルズはイライザの部屋を訪ね、「私の親友は君だけだ。手伝わせてくれ」と協力を申し出ました。

 

その頃、ホフステトラー博士もソ連側の人間と密会し、奇妙な生物が生体解剖されてしまう情報を伝えます。

 

しかし、返ってきた答えは「先にその生物を殺してアメリカ人が学べないようにしろ」というものでした。イスラエル製の爆弾と毒の入った注射器を渡されます。

 

私は学びたくて科学者になったのに…肩を落とすホフステトラー博士でした。

 

いっぽう、上司のホイト元帥に一目置かれて舞い上がるストリックランドは、キャデラックの販売店へ。「成功者が乗る車ですよ」という店員の殺し文句に気をよくして、思わず購入してしまいます。

 

そのままキャデラックに乗って航空宇宙研究センターに出勤。鼻高々で駐車場に車を停めました。

 

イライザの出勤時刻が近づく中、ジャイルズは偽造した通行証を作成。2人は作戦の最終確認をします。

 

いつものようにタイムカードの前で順番をとるゼルダでしたが、イライザの様子がおかしいことに気づいていました。

 

イライザは普段通りに仕事をしますが、ストリックランドに呼び出されてしまいます。しかし、彼女を呼び出した目的は、肉体関係を迫るためのものでした。

 

仕事が終わる午前4時半。イライザは掃除用具を片づけるふりをして計画に取りかかります。

 

「彼」を運び出すためのカートを準備し、搬入口までの逃走ルートの確保。搬入口に設置された監視カメラの向きをずらします。

 

同じ頃、ホフステトラー博士もストリックランドに考えを改めるよう最後の説得に来ていましたが、イライザが監視カメラをずらしている様子をモニター越しに見つけてしまいます。

 

いっぽう、イライザがロッカールームにいないことを不審に思ったゼルダは、イライザのタイムカードをチェック。退出の記録が残されていなかったため、機転を利かせて代わりに打刻しますが、胸騒ぎがするため搬入口へ。

 

午前4時55分。

 

イライザは水で湿らせたタオルを大量にカートに入れて研究室の中に。「彼」を連れ出そうとしますが、首を鎖でつながれていました。

そこへホフステトラー博士が現れました。イライザの計画を察知し、協力を申し出たのです。

 

鎖のカギをイライザに渡し、生育に必要な物資と情報(水の塩分濃度、生のタンパク質を与えることなど)を伝授。

 

さらに、電源システムが5分後に爆発することも伝え、停電している隙に逃げるよう助言しました。

 

イライザは「彼」をカートに乗せて、確認した逃走ルートを通って搬入口に向かいます。

 

しかし、搬入口の手前でゼルダが待機していました。イライザに罪を犯してほしくないゼルダは必死に説得しますが、イライザも折れません。

 

押し問答の末、ゼルダが折れて協力をすることに。

 

しかし、約束した5時になっても、ジャイルズの車は搬入口には到着していませんでした…。

 

その頃、クリーニング業者を装ったジャイルズの車は、航空宇宙研究センターの警備員室の前でチェックを受けていたのです。

 

ジャイルズは偽造した通行証を提示しますが、インクの文字がにじんでしまい、偽造だとバレてしまいます。

 

さらに、監視モニターでチェックしていたストリックランドも異変に気づき、車を侵入させないよう警備員室に電話で指示。

 

窮地に立たされたジャイルズですが、つぎの瞬間、電源システムの爆発によって停電が発生。

 

さらに、ホフステトラー博士が警備員の首に注射器を刺して動けなくさせました。

 

ジャイルズは急いで搬入口に向かい、イライザと「彼」を乗せて車で逃走。しかし、運転が不得意なジャイルズは、駐車場に停まっていた新品のキャデラックにぶつけてしまいます。

 

不審な車と停電に関連性があると察したストリックランドは慌てて駐車場に向かいますが、車はすでに逃走した後で、大破したキャデラックを見つめて呆然とするしかありませんでした。

 

上司であるホイト元帥に知られぬうちに事態を解決したいストリックランドでしたが、すでに報告された後でした。

 

 

研究室から「彼」を連れ出したイライザとジャイルズは、バスタブに「彼」を沈めますが、どんどん衰弱…。

 

イライザは急いでキッチンから食塩をとってきてバスタブの中へ。

 

すると「彼」は息を吹き返したように回復に。ひとまず安堵の表情を浮かべる2人でした。

 

イライザは、海の水位がもっとも上昇する「10日」に逃がすことを決め、「10日」の日めくりカレンダーに「桟橋」と書き記しました。

 

 

翌日、イライザが出勤すると、航空宇宙研究センターの警備は最大レベルに。

 

事件発生時刻の直前にタイムカードを押しているという理由で、イライザとゼルダはストリックランドに呼び出されました。

 

「何か見なかったか?」と聞かれますが、2人とも平静を装い、その場をやり過ごします。

 

その頃アパートでは、ジャイルズがうたた寝をした隙に「彼」がバスタブから抜け出してしまいます。

 

「彼」は部屋の中を興味深そうに探索し、ジャイルズの飼い猫を食べてしまいました…。

 

目を覚ましたジャイルズが驚いて注意をすると、「彼」はジャイルズの腕を引っ掻いて、アパートから逃走してしまいます。

 

ジャイルズは仕事中のイライザに電話で事情を説明。

 

急いで戻ってきたイライザは、アパート1階の映画館の入口に血の跡があるのを見つけ、中へと入ります。

 

誰も客のいない劇場では、上映中の『砂漠の女王』を直立しながら眺めている「彼」の姿がありました。

 

無事に見つかってホッとしたイライザは、「彼」を連れて部屋に戻ります。

 

「彼」はジャイルズの傷口と頭に手を当てました。すると、体が青く発光。

 

翌日、ジャイルズが目を覚ますと、薄かったの頭髪が生え、腕の傷も完全に治っていました。「彼」には傷を治す特殊能力があったのです。

 

この日、イライザは初めてバスルームで「彼」と体を重ねました。

 

同じ頃、ホフステトラー博士のアパートにはソ連側の人間が。

 

奇妙な生物の処分について尋ねられますが、「解剖したけれど何も出なかった」とごまかす博士。ソ連側の人間は異動の連絡を待つよう指示します。

 

イライザは次の日も「彼」と体を重ねることに。バスルームのドアの隙間をふさいで、天井まで水でいっぱいにしました。

 

しかし、床から水が漏れてしまい、1階の映画館では雨もり状態に。管理人から苦情の電話をうけたジャイルズはイライザの部屋に向かいます。

 

バスルームのドアを開けると、大量の水がいっきに溢れ出してきました。ジャイルズは裸で抱き合う2人を見て、そっとドアを閉めました。

 

心身ともに結ばれた2人は、テーブルでお互いを見つめ合っていました。すると、イライザの脳内には「彼」と一緒に踊り出すミュージカル映像が…。

 

しかし、幸せな気分とは裏腹に、「彼」の体はどんどん衰弱。ウロコがはがれ、口からは血を吐くように。

 

ホフステトラー博士に電話で助けを求めますが、博士はすでに家を出た後でした。

 

その頃、事件の手掛かりを見つけられずにいるストリックランドは、上司のホイト元帥から「まともな男は失敗しない、お前は重要ではない」と無能の烙印を押されてしまいます。

 

なんとしてでも事件を解決したいストリックランドは、容疑者とにらんでいるホフステトラー博士の尾行を始めます。

 

そんなホフステトラー博士が向かった先は、ソ連側の人間との密会場所でした。しかし、いきなりソ連側の人間に撃たれてしまいます。

 

ソ連側の人間がトドメを刺さそうとした瞬間、博士を尾行していたストリックランドがソ連側の人間を銃殺。

 

ストリックランドは瀕死のホフステトラー博士の傷口に指を入れて自白を強要します。それでも口を割らないため、電気が流れる警棒で拷問し、真相を語らせました。

 

プロ集団による犯行だと思っていたストリックランドは、ただの清掃係が主犯であったことに衝撃を受けます。

 

すぐさまゼルダの家に向かったストリックランドは、彼女の亭主がいる前でゼルダを脅迫。

 

ゼルダは親友を守って「何も知らない」と嘘をつき通しますが、彼女の亭主がすべてバラしてしまいました。

 

ゼルダは急いでイライザに電話をかけて、「危険だから逃げて!」と知らせます。

 

イライザの家に向かったストリックランドは、ドアを蹴破って部屋に侵入。バスタブを見て、この部屋でかくまわれていたことを確信します。

 

もぬけの殻となった部屋を物色する中で、日めくりカレンダーに書かれた「桟橋」という文字に気づいたストリックランドは車を走らせます。

 

その頃、ジャイルズが運転する車で、イライザと「彼」は桟橋に来ていました。

 

激しい雨が降る中、最後の別れを惜しむ2人でしたが、そこへストリックランドが現れました。

 

ストリックランドはジャイルズの顔面を殴って気絶させると、「彼」に発砲。つづけてイライザにも発砲しました。2人は見つめ合いながら地面に倒れ込みます。

 

トドメを刺そうと近づいたその瞬間、気絶していたジャイルズが、ストリックランドの頭部を角材で殴打。ストリックランドはその場に倒れ込みました。

 

ところが、その時、「彼」は撃たれた胸元に手をあてて自ら傷を治し、そのまままストリックランドのもとへと歩いていき、喉を爪で切り裂き殺害します。

 

そこへゼルダを乗せたパトカーが桟橋に到着。

 

ストリックランドを殺害した「彼」は、イライザを抱きかかえて桟橋から海へとダイブしてしまいました。

 

海中に沈んでいく2人。

 

「彼」はすでに息のないイライザの唇にキスをしました。

 

すると、イライザは蘇生し、さらに首の傷痕がエラに変化して、水中でも呼吸できるように。

 

こうして、声を失った王女は永遠の愛を手に入れることができました…。

 

 

End

 

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シェイプ・オブ・ウォーター』の感想

 

ネタバレを含みつつ、あらすじなどについてご紹介しました。

 

 

『シェイプ・オブ・ウォーター』で、ギレルモ・デル・トロ監督はアカデミー賞・監督賞を見事に受賞しましたが、出演している俳優陣もアカデミー賞の常連ばかり。

 

手話だけでイライザを演じたサリー・ホーキンスは、身振り、手振り、表情だけで複雑な感情を見事に表現。

 

リチャード・ジェンキンス、オクタヴィア・スペンサーも安定感のある好演でしたし、悪役をやらせたらピカイチなマイケル・シャノンの威圧感ある演技はサイコーでした。

 

その相乗効果は絶大で、アカデミー賞・作品賞を受賞したのも納得です。もはや向かうところ敵なしですが、実際に作品を観てみると、完成度の高さに驚かされます。

 

バイオレンス、エロス、サスペンス、ミュージカル、そして切ないラブストーリーからのおとぎ話…と様々な要素を絶妙なバランスで散りばめて、ラストで見事にまとめ上げる手腕の確かさには圧巻でした。

 

アカデミー賞で言えば、本作では美術賞も受賞していますが、水を象徴する色である「青」を基調とし、愛情を表す色として「赤」を、未来を表す色として「緑」を使用し、1960年代のクラシカルな美術セットや衣装にそれらの色が見事に調和していて素晴らしかったです。

 

息をのむほど美しい冒頭とラストの水中のシーンも、実は水を一滴も使っていないと聞いて驚きましたが(俳優やセットをワイヤーで吊ってスローモーション撮影するDry For Wetという手法だそうです)、

 

まるで水中にいるような幻想的なシーンにおとぎ話のナレーションをかぶせる演出に、ギレルモ・デル・トロ監督の美学を感じます。

 

1960年代は、マイノリティの人たちが今よりもっと抑圧され、差別されていた生きづらい時代。

 

本作でも、主要キャストは障害者、黒人、同性愛者、そして半魚人という設定ですが、社会的弱者として差別や偏見の対象とされ、世間から蔑まれてきた者同士だからこそ通じ合える部分や絆が深まっていく描写がとても丁寧に描かれているため、

 

終盤へとつながる彼らの反乱的行動にもとても説得力あり、強烈なメッセージとなって伝わってくるのだと思います。

 

すべての登場人物が、心に孤独を抱えていましたが、社会的にマイノリティで孤独のように見えるイライザたちよりも、

 

マジョリティ側の立場であり、自分を愛してくれる妻子もありながら、そこに幸せを見ようともせず、出世したいという欲にばかり執着していたストリックランドこそ、実はもっとも孤独な存在なのかもしれません。

 

日めくりカレンダーの裏に書かれていた「人生は失敗の積み重ねにすぎない」という言葉も、胸に残りました。

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