映画『エル ELLE』のネタバレです!
『氷の微笑』のポール・ヴァーホーベン監督がの名女優イザベル・ユペールとタッグを組んだ異色のサスペンス映画『エル ELLE』
映画のキャッチコピーは”犯人よりも危険なのは彼女だった”
主人公のミシェルとはいったいどんな女性なのか?
先が読めない官能サスペンスです。
今回はそんな映画『エル ELLE』の詳しいあらすじやネタバレについて触れていきたいと思います。
※注意:結末ラストまでネタバレしていますので映画を見ていない方はご注意ください。
あらすじ・ストーリー
では、まずあらすじから。
ゲーム会社の社長を務めるミシェル(イザベル・ユペール)はパリ郊外の豪邸に一人暮らし。
ある日の昼下がり。
ミシェルが飼い猫を家に入れようとドアを開けたその一瞬をねらって、全身黒ずくめの
覆面をかぶった男が家の中に侵入。
ミシェルは性的暴行を受けてしまいます。
しかし、警察に通報することなく、翌日には何事もなかったかのように出勤。
ミシェルは過去のつらい体験から警察に不信感をもっていたのです。
そして、自衛のために催涙スプレーと手斧を購入。
そんなミシェルの元に犯人と思われる送り主不明の人物から嫌がらせのメールが届き始めます。
さらに何者かが留守中に侵入した形跡も…。
暴行犯は身近にいる人間に違いない!
そう確信したミシェルは自分の周囲にいる男たちに疑惑の目を向けていきます。
離婚後もミシェルへの未練が断ち切れない売れない作家の元夫。
ミシェルと体だけの関係をもつ親友・アンナの夫。
金目当てで高齢の母親と再婚しようとしている母親の若い愛人。
ワンマン社長のミシェルを嫌う男性社員。
向かいの家に棲む銀行員の隣人。
誰もが怪しく思えてしまうミシェルでした。
そんなとき、製作途中のゲームにミシェルの顔を合成した卑猥な動画が全社員に一斉送信されてしまいます。
犯人は社内の人間だ!
そう判断したミシェルは信頼できる社員に誰が動画をアップしたのか極秘調査を依頼。
しかし、その動画を作ったのが、実は極秘調査を依頼した社員であったことが判明します。
ただ、彼は面白半分で動画を作っていただけで暴行犯ではありませんでした。
はたして犯人はいったい?
この後、ミシェルはどうなってしまうのでしょうか?
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ラスト・結末(ネタバレ注意!)
以下、ネタバレ含みます。
ミシェルが警察、そしてマスコミに対して不信感をもつのには理由がありました。
ミシェルの父親は39年前に大量殺人事件を起こしており、死刑囚として服役中でした。
加害者の娘ということでメディアの標的となり、つらい経験をしてきたミシェル。
暴行の被害を届け出なかったのも過去を蒸し返されたくなかったからでした。
そんなミシェルには離婚した夫との間にヴァンサンという息子がいます。
しかし、仕事も安定せず、妊娠中の恋人と結婚すると言ってミシェルを悩ませていました。
そして、ミシェルの悪い予感は的中。
ヴァンサンの恋人が産んだのは肌の色が違う赤ちゃんでした。
そんなある夜、ミシェルが車で帰宅すると、家の前にパトカーが。
向かいの家に棲む銀行員のパトリックがミシェルの家に侵入した不審者を発見し、警察に通報したのです。
自分のことを心配してくれている…。
この一件でミシェルは隣人のパトリックに好意を抱くようになります。
そして双眼鏡で隣の家を覗き見しながら自慰行為にふけるように…
さらに、自宅で開くクリスマスパーティーにもパトリックと彼の妻を招待します。
そのパーティーには息子のヴァンサンとその妻。
元夫と若い彼女。
親友のアンナと浮気相手である彼女の夫。
ミシェルの母親とその愛人。
そして、隣人のパトリックと彼の妻が参加しました。
全員が顔をそろえたテーブルの下。
ミシェルはパトリックの股間にわざと素足を伸ばして挑発します。
ところが、パーティが終わりに近づいたその時、ミシェルの母親が脳梗塞を発症。
母親は救急車の中で「お父さんと会って」という言葉をミシェルに言い残して息を引き取ります。
強風が吹きつける晩、パトリックがミシェルの家の雨戸を閉める手伝いにやって来ました。
なんとなく良いムードになりミシェルはパトリックを誘惑しますが、妻に罪悪感を感じたパトリックは直前でミシェルの家を飛び出してしまいます。
そして、その数日後、ミシェルの家に段ボールが。
段ボールをハサミで開けていると、ふたたび黒ずくめの覆面男が家に侵入し、ミシェルに襲いかかってきました。
ミシェルは必死で抵抗し、暴行犯の右手をハサミで突き刺し、覆面をはぎとります。
なんと暴行犯の正体は…
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自分が好意を寄せ誘惑していた隣人のパトリックだったのです。
パトリックは女性を乱暴することでしか興奮できない性癖の持ち主だったのです。
犯人が判明したものの、複雑な心境のミシェルは警察には通報せず、パトリックと隣人の関係を続けることに…。
その後、ミシェルは母親の遺言を守って父親に会うため刑務所へ。
しかし、ミシェルが会いに来ることを知った父親はミシェルに合わせる顔がなかったのか、首を吊って自殺しています。
刑務所からの帰り道、ミシェルは飛び出してきた鹿をよけて交通事故にあってしまいます。
電話で助けを求めたのは…
隣人のパトリックでした。
パトリックはミシェルを救助し、優しく怪我の治療をおこないますが、そんなパトリックにミシェルは尋ねました。「なぜあんなことしたの?」
「必要だったから」と答えるパトリック。
ミシェルはパトリックの性癖を受け入れ、好きな男とならそうゆうプレイも悪くないと危ない関係をするように…
ー
新作ゲームが完成し、ミシェルの会社では記念パーティーが行われ、パトリックも招待されました。
パーティーが盛り上がる中、ミシェルは親友のアンナに彼女の夫と浮気をしていたことを告白。
どうやらすべての嘘を清算したい思いがミシェルの心の中で沸き起こった様子…
パトリックに送ってもらう車中でも「この関係は病的で、屈折している。今までに何人に同じことをしてきたのか、警察に話すべき」
と言って2人の関係の解消をにおわせ、自首を促します。
ミシェルが家に入ると、またもや覆面をかぶったパトリックがミシェルの顔を殴りながら性行為を…
しかし、そこへ息子のヴィンセントが。
まさかプレイだとは思ってもいないヴィンセント。
母親を助けようとして木の棒でパトリックの頭を思いきり殴ります。
パトリックの頭はパックリと割れ、「なぜ?」と言い残して絶命。
警察が現場検証に訪れ、事情聴取を受ける親子。
パトリックとの関係を尋ねられ「ただの隣人でした」と答えるミシェルでした。
パトリックの妻は家を売却して他所に引越し。
「夫の欲求を満たしてくれてありがとう」と彼女はミシェルに感謝の言葉を述べました。
すべてが終わりミシェルは父親のお墓へ。
そこに親友だったアンナが現れ、夫と別れたことを告白。
ミシェルとアンナは仲直りし、女性2人で楽しく暮らす話で盛り上がります。
End
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感想
以上、映画『エル ELLE』のネタバレを含みつつ、あらすじなどについてご紹介しました。
いきなり性的暴行シーンから始まり、60代のイザベル・ユーペルが惜しげもなく裸体を見せる冒頭から、ただものではない雰囲気が伝わってくる作品でしたが、暴行犯を見つけ出して復讐する話なのかと思いきやストーリーは二転三転。
映画『エル ELLE』はラストまで先が読めない展開でした。
ミシェルの日常を描きながら、複雑な家族の関係や仕事上での立場、隠している過去などが明らかになっていく…
とても緻密にストーリーが作られていますが、最後までミシェルの内心がベールに包まれていて、これぞ”魔性の女”なんでしょうね。
イザベル・ユーペルはこの『エル ELLE』でアカデミー賞主演女優賞にノミネート。
ゴールデングローブ賞では主演女優賞を受賞しています。
それも納得の素晴らしい演技力です。
『氷の微笑』のポール・ヴァーホーベン監督が撮った、洗練された変態映画(←誉め言葉です)をぜひ映画館のスクリーンで。