映画『レディ・バード』のネタバレです!
自分のことを「レディ・バード」と名乗る女子高生の一年間の心の軌跡を描いた映画『レディ・バード』。
大学進学をめぐる母親との確執や、親友とのすれ違い、彼氏との痛々しい恋模様などがリアルに盛り込まれています。
第90回アカデミー賞では作品賞をはじめ、主演女優賞、助演女優賞、監督賞、脚本賞にもノミネートされ、アメリカでも高く評価されました。
今回はそんな映画『レディ・バード』の詳しいあらすじやネタバレについて触れていきたいと思います。
※注意:結末ラストまでネタバレしていますので映画を見ていない方はご注意ください。
映画『レディ・バード』のあらすじ
物語の舞台は、2002年のアメリカ、カルフォルニア州のサクラメント。
大学への進学を考えている高校3年生のクリスティン(シアーシャ・ローナン)は、母親(ローリー・メトカーフ)と大学の下見に行った帰り道、「カルフォルニアの大学には行きたくない。刺激的なニューヨークの大学に行きたい!」と言い出し、車内で激しい口論に。
クリスティンは走行中の車から飛び降りて抗議の意思表示を。その結果、腕を骨折してしまいます。
そんなクリスティンが通うのはカトリック系の男女共学校。親のつけた「クリスティン」という名前が好きではなく、学校では「レディ・バード」と名乗っていました。
新学期が始まり、ちょっと太目な親友のジュリーと演劇部に入部したレディ・バード。
ミュージカルのオーディションで、ダニー(ルーカス・ヘッジズ)という男子生徒に一目惚れをして、自分から積極的にアプローチ。デートを重ねて、キスをするまでの間柄になります。
ところが、家に帰れば不機嫌な母親からあれこれ注意され、ストレスは溜まるいっぽう。母親は母親で、夫が失業して家計のやりくりに悩んでいたのです。
そんな母親に「ニューヨークの大学に進学したい」などと相談できるはずもなく、レディ・バードは父親に頼んで奨学金の申請をしてもらいます。
11月下旬、ダニーから感謝祭のディナーに招待されたレディ・バード。ダニーの祖母が暮らす豪邸を見てすっかり舞い上がり、ダニーのことがますます好きになってしまいますが、
後日、ミュージカルの打ち上げパーティーで、ダニーが男子生徒とキスをしている現場を目撃。ショックから演劇部も辞め、ダニーとも別れてしまいます。
しかしダニーは、ゲイであることに悩んでいることをレディ・バードに告白。レディ・バードは号泣するダニーを抱きしめ、2人は友人の関係へと戻ります。
その後、レディ・バードはカフェでアルバイトを始めますが、客としてやって来た同級生のカイル(ティモシー・シャラメ)に一目惚れ。彼は人気バンドのメンバーで、超イケてる男子でした。
[adrotate banner=”3″]
映画『レディ・バード』のラスト・結末(ネタバレ注意)
以下、ネタバレ含みます。
レディ・バードはカイルに近づくため、そのバンドのメンバーと付き合っている金持ち女子のジェンナと仲良くなります。しかし、そのことで親友のジュリーとは段々と疎遠に。
ジェンナと仲良くなったことで、カイルとの距離は一気に縮まり、2人は恋人へと発展。
「童貞なんだ」という告白を信じたレディ・バードは、カイルに処女を捧げてしまいます。しかし、童貞ではなかったことが後になってわかり、レディ・バードは激怒。カイルは遊び人だったのです。
レディ・バードは、迎えに来てもらった母親の車の中で思わず泣いてしまいました。
しかし、母親とは進学する大学をめぐって対立した状態がつづいたまま。奨学金がもらえることになったと父親から報告をうけて喜ぶいっぽう、地元の大学を勧める母親には何も言えずにいました。
そんな時、レディ・バードは授業中に暴言を吐いてしまい、停学処分になってしまいます。
「お前を育てるのにいくらかかると思ってるんだ!」と母親は思わず声を荒げて叱りつけますが、「後で働いて返すわよ!」と言い返してしまい大喧嘩に。
母娘の冷戦状態がつづく中、学校ではプロムの時期が近づいていました。
プロムで着るドレスを買うため、レディ・バードは母親とスーパーへ。
レディ・バードが選ぶドレスにダメ出しばかりする母親。
「どうしていつも否定ばかりするの? 私を愛してよ!」とレディ・バードは母親に不満をぶつけますが、「あなたを愛しているから本当のことを言うの。あなたには私よりも素晴らしい人生を送ってほしいから」と一歩も譲らず、2人は険悪な状態のまま、ピンクのドレスを買って帰宅します。
彼氏同伴でプロムに行きたいレディ・バードは、別れたカイルに車で迎えに来てもらいますが、カイルが車内で「プロムなんてダサいから行くのをやめた」と言ったため、途中で車を降り、疎遠になってしまった親友のジュリーの家を訪ねます。
2人はすぐに仲直りをして、一緒にプロムの会場へ。
プロムも終わり、ジュリーやダニーが出演する演劇も無事に終了。家族や友人らで盛り上がる中、ダニーがうっかり口を滑らしてしまい、レディ・バードが母親に内緒でニューヨークの大学に行こうとしていることがバレてしまいました。
泣きながら必死に説得するレディ・バードでしたが、相談もなしに勝手に計画を進めていたことが許せない母親は口を聞かなくなってしまいます。
18歳の誕生日、父親だけがケーキでお祝いを。レディ・バードは運転免許を取得し、タバコやアダルト雑誌も堂々と購入。アルバイトを掛け持ちしてお金を貯め、高校も無事に卒業しました。
9月になり、レディ・バードはニューヨークの大学へ。母親が運転する車で空港まで送ってもらいますが、母親は最後までひと言も声を掛けませんでした。
しかし、何も言わずに娘と別れてしまったことを後悔。急いで空港へと引き返しますが、すでに搭乗ゲートに入った後でした。
ニューヨークに到着したレディ・バードは、母親が自分に宛てた手紙を荷物の中から発見します。一度書いて捨てた手紙を、父親がそっと忍ばせていたのです。その手紙を読んで、母親の愛情を改めて知るのでした。
大学生活が始まり、初対面の男子と意気投合したレディ・バード。「私の名前はクリスティンよ」と本名で自己紹介したまではよかったものの、酒を飲みすぎて病院に搬送。翌朝、病院のベッドで目を覚まします。
退院したその足で教会に立ち寄ったレディ・バードは、地元の風景を思い出していました。そして、思わず実家に電話をかけます。
あいにく留守電でしたが、レディ・バードは母親への謝罪の言葉と感謝の気持ちをメッセージに吹き込みました。
そして、レディ・バードと言う名前を捨てて、親がつけてくれたクリスティンという名前に戻すのでした…。
End
[adrotate banner=”3″]
映画『レディ・バード』の感想・まとめ
ネタバレを含みつつ、あらすじなどについてご紹介しましたが17歳のレディ・バードの視点で描かれる本作ですが、親に対する反抗心や、ちょっとしたことですれ違いが生じてしまう親友との関係、理想ばかり先行してうまくいかない恋愛など、きっと誰もが高校時代の自分と重ねてしまう作品だと思います。
そのいっぽうで、高校卒業後の進路を決めなくてはいけない人生の大事な時期。親が決めたレールを進むべきか? それとも自分が進みたい道を選ぶべきか?そんな10代の少女の巣立ちを描いた作品でもあります。
実際、この作品に登場する母親や父親の立場が理解できる年齢になると、彼らの事情(とくに金銭的な問題)が手に取るように分かるため、映画を観ながら、ときに親のような心境になってしまう場面もありましたが、残念なことに自分が10代の頃には気が付かないんですよね。
よその家庭と比べたり、父親のことを恥ずかしく思う娘に対して母親が言った「お金は人生の成績表じゃない」という台詞がとても心に響きました。
彼女も親元を離れてみて初めて、両親の愛情や優しさに気づきますが、この作品を通じて、観客にもいろいろなことを思い出させてくれる本作。観終わったあと、親に電話をしたくなりました。
監督デビューを果たしたグレタ・ガーウィグの演出も冴えわたっていましたが、主演のシアーシャ・ローナンをはじめ、彼氏役のティモシー・シャラメにルーカス・ヘッジズ、母親役のローリー・メトカーフなど、役者の演技もみな素晴らしかったです。