映画ネタバレ

映画『空の青さを知る人よ』ネタバレと評価・感想!高いレベルでよくまとまった良作だが…?

2019年10月11日より公開のオリジナルアニメーション映画『空の青さを知る人よ』。


引用:https://mvtk.jp/campaign/soraao

大人気作品『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ』などでおなじみの、監督・長井龍雪、脚本・岡田麿里、キャラクターデザイン・田中将賀のトリオによる新作アニメ映画です。

今回は、映画『空の青さを知る人よ』のあらすじを完全ネタバレでお届けしつつ、評価・感想を紹介します!


アニメ映画『空の青さを知る人よ』あらすじネタバレ

あおいとあかね、”シンノ”と慎之介

プロのベーシストを目指す女子高校生、相生(あいおい)あおいは、14才年の離れた姉・あかねと二人で暮らしている。小さい頃、あかねの同級生であり恋人の”シンノ”こと、金室慎之介が所属するバンドの練習を見に来ていたのが、楽器を始めるきっかけだった。

13年前、あかねは、高校卒業後にシンノと一緒に東京に行く約束をしていた。しかし、卒業前に不幸にも両親が事故で亡くなってしまう。あかねは、幼いあおいの面倒を見るためにシンノとの約束を断念、地元に残ることを選んだのだった。現在は市役所に勤めて生計を立てている。


引用:https://movie.jorudan.co.jp/cinema/38610/

高校生になったあおいは、自分が姉を地元に縛り付けてしまったことにどこか負い目を感じていた。姉を自分から解放するためにも、「プロミュージシャンになる」という夢をある種の口実に、高校を出たらすぐに東京に上京するべく練習に励んでいた。

ある日、あおいがいつものようにお堂でベースの練習をしていると、突然、目の前に13年前の姿そのままのシンノが現れる。シンノはどうやら13年前からそのままタイムスリップしてきた”生き霊”のような存在で、お堂から外に出ることはできないようだった。


引用:https://www.fashion-press.net/news/48252

一方同じ日、町おこしの一環でコンサートを開催するべく招待された大物歌手・新渡戸団吉が街にやってくる。新戸部のサポートバンドには、ギタリストとして参加する慎之介の姿があった。高校卒業後に東京に出たきり、13年ぶりの帰郷だった。

別人のように変わってしまった慎之介

サポートバンドのドラムとベースが、食あたりで入院してしまったため、あおいは急遽ベースの代役として新戸部バンドに参加することになる。

しかしあおいはそこで、慎之介が、シンノと呼ばれていた13年前とは全く変わってしまっていたことを知ることになる。

シンノが、明るく無邪気にあおいを励ましてくれるのとは対照的に、慎之介はあおいの演奏をボロクソにけなす。記憶の中の、そしてお堂に現れたシンノとのあまりの違いに、あおいは慎之介のことをうまく受け入れられない。


引用:https://www.cinemacafe.net/article/img/2019/09/13/63500/446132.html

あかねもまた、酒で酔いつぶれた慎之介を宿泊先まで車で送ってやった際、手を出そうとされ「13年ぶりにあったのに、幻滅させないで」と言い放つ。

一方、慎之介自身も、中途半端な自分に他の誰よりも嫌気がさしていた。かつて「ビッグなミュージシャンになって、あかねを迎えにくる」という目標を胸に、東京へ向かった慎之介。しかし現実は、なんとか音楽に関われているだけで、かつて自分が思い描いた姿とはかけ離れていた。

一人部屋に残された慎之介は、「オレだって帰って来たくなかったんだよ…こんなオレで」と独り呟くのだった。

芽生えてしまった恋心に苦しむあおい

慎之介のことが嫌いになっていく一方のあおい。しかしシンノが「いつかあかねを迎えに来る」という思いを抱いていたことから、かつてのシンノのバンド仲間”みちんこ”中村正道の息子・つぐと協力し、シンノのためにもあかねと慎之介を無事にくっつけようとする。

一方で、慎之介にバカにされたのが悔しくて、あおいは必死にベースを練習する。「姉に好きに生きてもらうためにも、地元を出たい」というあおいに対し、お堂から外に出られないシンノは「本当は俺、どっかでこっから出てくの怖がってんのかなぁ…」とこぼす。


引用:https://kai-you.net/article/65918

シンノが続けて「さすが未来のうちのベーシスト」とあおいを褒めてきたことに対して、あおいは驚いた表情を見せる。幼い頃、シンノに言われたこの言葉こそが、あおいにとってとても嬉しい言葉だったのと同時に、ベースを弾く最初の動機だった。

「覚えてるもなにも、約束したろ」と事も無げに言ってくるシンノに対し、あおいは自分の中にシンノへの気持ちが芽生えてしまったことを自覚する。

姉の恋人であるはずの相手を好きになってしまったことに苦しむあおい。自己嫌悪と、現在の慎之介への拒否感、自分が姉を縛り付けてしまったことへの負い目などがごちゃ混ぜになり、あおいはつい、地元に残ることを選択して13年生きてきたあかねを責めるようなことを言ってしまうのだった。

アニメ映画『空の青さを知る人よ』結末あらすじネタバレ

ここから、映画の結末までネタバレしています。未見の方は注意してください。

姉の想い

新戸部によるコンサートの開催日が目前となり、会場の準備も急ピッチで進められていた。リハの合間、会場の建物裏の人目につかない場所で、独り弾き語りをする慎之介。

そこにあかねがやってくる。あかねから突然『空の青さを知る人よ』をリクエストされ、慎之介は「なぜその曲を知っているのか」と焦った様子を見せる。『空の青さを知る人よ』は、慎之介のソロデビュー曲で、唯一発売できたCDだった。

あかねは、発売当時にCDも買っていて、高校生の時のシンノのバンドがコピーしていた思い出の曲『ガンダーラ』と同じくらい好きな曲だと言う。


引用:https://kai-you.net/article/65918

リクエスト通り『空の青さを知る人よ』を歌った後、慎之介はあかねに対し「オレ、戻ってこようかな」とこぼす。自分を拾ってくれた新戸部には感謝しているものの、自分が思い描いたミュージシャンではないことから、このまま続けてもどうにもならないと思い始めていた。

そんな慎之介に対し、あかねは、30歳なんてまだまだこれからだと叱咤しつつ、「ここでしかできないこと、私にはまだある。諦めてないよ」と語るのだった。

リハの再開に向けて、会場内に戻っていく慎之介。一人その場に残ったあかねは、静かに涙を流す。そんな姉の一部始終を、あおいは遠くから見つめていた。

リハが終わり、先に家に戻ったあおいが虫刺されの薬を探していると、棚にしまわれていた姉のノートが目に入る。


引用:https://tsubasabunko.jp/special/sora_ao/sp1909-b.html

そのノートは”家事攻略ノート”と題されていて、あかねが家事を身につけるためにした努力の跡が刻まれていた。幼い頃から”あか姉”と呼び慕い、なんでもできるような気がしていた姉が、他でもない自分のためにずっと必死に頑張っていてくれていたことに気づくあおい。

あおいは、シンノのことが好きであること、でもあか姉のことも大好きで、張り裂けそうになってしまった感情をシンノに対してそのままぶつける。

しかしお堂から外に出ることすらできないシンノは、気持ちをぶつけたのちに泣きながら走り去るあおいを見送ることしかできない。シンノは、「オレ、どうしてここにいるんだ…?」と一人苦悩するのだった。

シンノと慎之介

翌日、新渡戸がお守りがわりとして身につけていたペンダントをどこかで紛失したと騒ぎ出す。観光した時の記念写真を辿ってみると、山中にあるトンネルで落としたことが判明。「アレがないと歌えない」と言う新戸部のために、あかねがトンネルまで探しに行くことになる。

しかしその後、前日の雨で地盤が緩んだせいで、山中で土砂崩れが発生したというニュースが飛び込んでくる。土砂崩れが起きたのは、あかねが向かったトンネルが山あるだった。

一方、前日のあかねとの会話で思うところがあって、学生時代の練習場所であるお堂に向かっていた慎之介は、昔の自分そのままのシンノと出くわし面食らう。そこに、あおいがあかねのことを知らせに走りこんでくる。


引用:https://anicoverage.com/2019/07/16/creators-from-anohana-shows-serious-melodrama-in-sora-no-aosa-pv/

あおいから、土砂崩れの件と、みちんこが役所に連絡して状況を確認してくれてると聞かされ、ひとまずみちんこからの続報を待とうとする慎之介。そんな慎之介の態度に、シンノは「なんで冷静でいられんだよ!」と憤る。

お堂の中には、かつて慎之介が置いていったままのギターが埃をかぶって放置されていた。それは、慎之介がバイトでお金を貯めてようやく手にしたもので、密かに”アカネスペシャル”と名付けられた赤いギターだった。

言い合いの中で、「オレは、あかねに約束を断られた時、”このまま東京に行かず、あかねと一緒にいたいと願ったオレ”だ」と語るシンノ。

シンノは自分をお堂の中に閉じ込める”見えない壁”に向かって、何度も突進する。あおいもシンノを外から必死に引っ張る。そんなシンノに共鳴するように、激しく振動し始めるアカネスペシャル。


引用:https://www.cinemacafe.net/article/2019/09/13/63500.html

シンノは、あかねへの未練に引っ張られ、アカネスペシャルとともにお堂の中に残されたままになってしまった、”かつての慎之介の想い”そのものだった。アカネスペシャルの弦が弾き飛ぶと同時に、シンノもまた解き放たれ、お堂の外に出ることに成功する。

あかねのもとへ、空を飛ぶように駆けていくシンノとあおい。それを見た慎之介は「めちゃくちゃだろ!」と声を張り上げてツッコミつつ、必死に走って追いかけるのだった。

“空の青さ”を知る人

トンネルの中、探し物のペンダントを無事に見つけるあかね。そこに「お前こんな状況だってのに、ほんと肝座ってんな」とシンノがやってくる。あかねは最初こそ驚くが、「目の前に実際にいるから」とすんなりと過去のシンノの存在を受け入れる。

あかねは知らなかったが、シンノは13年後のお堂に現れてから、何度かあかねのことを見ていた。昔も今も、あかねが作るおにぎりの具は、シンノが何度もリクエストした”ツナマヨ”ではなく、いつもあおいが好きな”昆布”だったことを指摘するシンノ。


引用:https://www.youtube.com/watch?v=Px1htzPeYCc

シンノは「でも、ツナマヨじゃ昆布にはかなわないよな。”空の青さ”を知っちまったら」と言って、あかねに笑いかける。

以前から”井の中の蛙、大海を知らず。されど空の青さを知る。”という言葉が好きだったあかね。あかねにとっては妹の”あおい”こそが、空の青さだった。

「綺麗になってたでしょ?」とあおいのことを自慢してくるあかねに対し、シンノは「オレよかった。妹を大事にできるあかねのことを好きになって。」と返すのだった。

トンネルの外では、「離してくれ、あかねが…!」と土砂を超えてトンネルに向かおうとする慎之介を、危ないからとあおいが必死に引き止めていた。そこに、空を飛べるシンノが、あかねとともに土砂を超えて戻ってくる。

「あーよかったー!!」と声をあげて自分の方へ走ってくるあかねを受け止めようと、両手を広げる慎之介だったが、あかねは慎之介をスルーして「あおいー!!」と叫びながらいすぐ横の妹に抱きつくのだった。

車に戻り、運転席に乗ろうとするあかねに、あおいは「自分は歩いて帰るから、3人で行って」と言う。気持ちを精一杯抑え、「じゃあね、シンノ」と別れを告げてくるあおいに対し、シンノは「おう、目玉スター」と言って笑いかけるのだった。

 

あおいの運転で、慎之介は助手席、シンノは後部座席に乗り込む。慎之介が振り返ると、シンノは寝ているようだった。

東京で夢に敗れ、諦め掛けていた慎之介だったが、今回の一件で変化した心境をあかねに素直に打ち明け始める。

「オレさ、ちゃんと前に進んでんだって思い出した。でもまだ、途中なんだ。だから、お前のことも諦めない。」とあかねに伝える慎之介。

それを聞いたあかねは、「”3人で”、かぁ…そっか、あおい、あの時の私と同じくらいになってたんだ」と、妹が自分が思っていたよりずっと成長していたことに気づく。「今度、ツナマヨのおにぎりでも作ってみようかな」と言うあかねの言葉に、後部座席のシンノは密かに微笑んだ。

あかねの言葉の真意が気になり、「なぁそれって…?」と尋ねかける慎之介だったが、その途中でふと目線の端に映った後部座席が気になり振り返ると、シンノの姿は消えていたのだった。


引用:https://news.nanda.tokyo/movie/14939/

一人、田舎道のど真ん中を全力で走るあおい。「あー!泣いて、ないし!」と声を張り上げながらも、涙は溢れ、立ち止まってうずくまってしまう。

ひとしきり泣いたのち、あおいは空を見上げる。

「あー…空、クソ青い」

あおいの眼前には、憎らしいほど綺麗な青い空が広がっていたーーー。

アニメ映画『空の青さを知る人よ』評価と感想

映画『空の青さを知る人よ』の評価・感想ですが、率直に言ってよくできた良作だったと思いま!

作画が素晴らしいのは言わずもがな、よくできた脚本に加え、主題歌を担当したあいみょんの「空の青さを知る人よ」「葵」を筆頭に、音楽の使われ方も最高で、総じて面白かったです。

クライマックスでの、弦が吹き飛ぶシーンからの空を飛ぶ展開は、アニメーションならではの躍動感と高揚感で、流石の一言でした。

また一部で懸念されていた、メインキャラクターに俳優を起用した件についても、シンノ・慎之介を演じた吉沢亮さん、あかねを演じた吉岡里帆さん、今作が初めての長編アニメーション出演となった若山詩音さんなど、みなさん全く違和感がなく、とても良かったです。


引用:https://www.tokyoanime.jp/eiga-soraao-douga/

しかし、よくまとまっていたものの、その一方で綺麗にまとまりすぎた印象も持ちました。

全体的に、しっかりと観客に伝わるように物語が組み上げられているし、だからこそしっかりクライマックスシーンでは泣かされました。しかし、見終わってから改めて振り返ってみた時に、めちゃくちゃ感情移入して引き込まれた感覚があったか?というと、少し考え込んでしまったんですよね。。

例えば、あおいが姉に対して感じている負い目など、観客にしっかりわかるようには描かれているものの、その感情に生々しさがあまり感じられず。。他のキャラクターの心象描写についても同様で、やはりもう少し踏み込みが足りなかったのかなと。全体的にあまりにも綺麗すぎたような印象を受けました。

よくできているし、良作ではあるとは思うんですが、個人的には、青春映画としてはもう一つ心をザワつかせるような何かが欲しかったかなと思います。

まとめ

以上、映画『空の青さを知る人よ』結末までのあらすじネタバレと、評価・感想を紹介しました。

少し否定的な印象も持ちましたが、基本的にはよくまとまった良作だとも思います。次回作もぜひ期待したいですね!