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『ザ・スクエア 思いやりの聖域』映画のネタバレ(あらすじ・結末)の紹介

映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』のネタバレです!

第70回カンヌ映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した話題作『ザ・スクエア 思いやりの聖域』。

監督・脚本は、『フレンチアルプスで起きたこと』のリューベン・オストルンドです。

美術館のキュレーターとして成功を収めた男性が、軽率な行動によって追いつめられていく悲喜劇を描いた作品になっています。

今回はそんな映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』の詳しいあらすじやネタバレについて触れていきたいと思います。

※注意:結末ラストまでネタバレしていますので映画を見ていない方はご注意ください。


『ザ・スクエア 思いやりの聖域』のあらすじ

 現代美術館のチーフ・キュレーターをしているクリスティアン(クレス・バング)は、洗練されたファッションに身を包み、優雅な暮らしをしているバツイチの紳士。頭の中は、次の展覧会のことでいっぱいでした。

展覧会のタイトルは『ザ・スクエア』。「信頼と思いやりの聖域」をテーマにした現代アートを館内にいくつも展示。地面に4m四方の正方形を描き、その中ではすべての人が平等であるというのが作品のコンセプトです。

宣伝のための取材インタビューや広告代理店との打ち合わせに追われていました。

ある朝、出勤途中のこと。クリスティアンは悲鳴を上げながら走ってきた女性を助けますが、油断をした隙に財布とスマホを盗まれてしまいます。

しかし、スマホのGPS機能を使って犯人が住むアパートを割り出すことに成功。

盗まれた財布等を取り返すため、アパートの全室に脅迫状を入れてはどうか?という部下からの提案に賛同して脅迫状を作成します。

クリスティアンは部下とともにアパートに向かいますが、部下からうまいこと言いくるめられ、50室あるすべての部屋に自ら脅迫状を投函するハメに…。

それから数日後。脅迫状が功を奏して、盗まれたスマホと財布が手元に戻ります。財布に関しては現金やカードも抜かれていませんでした。

ところが数日後、クリスティアン宛に手紙が。その手紙には「よくも泥棒扱いしたな。家族に謝れ。さもなければカオスに陥れる」と書いてありました。

クリスティアンはその手紙が気になってしまいます…。

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『ザ・スクエア 思いやりの聖域』のラスト・結末(ネタバレ注意!)

以下、ネタバレ含みます。

いっぽう美術館では、『ザ・スクエア』の宣伝方法について広告代理店の社員がプレゼンをしていました。

メディアに取り上げてもらうには、賛否が大きく分かれるようなインパクトのある表現が必要だと主張したうえで、世間の注目が社会的弱者の話題に集まりやすい点に着目。

「信頼と思いやりの聖域」というテーマにも一致するということから、社会的弱者を起用した宣伝動画を作るという提案をしてきました。

美術館スタッフらはその提案に難色を示しますが、手紙のことでうわの空だったクリスティアンは、プレゼン内容を十分に確認しないままOKを出してしまいます。

クリスティアンに届いた手紙の現物を部下に取りに行かせると、そこには移民らしき男の子が。

「よくも泥棒扱いしたな。家族から疑われてサッカーもゲームも取り上げられた。僕と家族に謝れ!」と怒りをぶつけてきました。

いっぽう、美術館の展示物にもトラブルが。まずは損害保険会社に連絡しては?とスタッフは打診しますが、クリスティアンは自分たちで直してもバレないからと補修するよう指示。

そこへ、クリスティアンがかつて行きずりの関係をもった女性記者が登場。彼女は美術館のスタッフに聞こえるような大声で2人の関係について尋ね、クリスティアンを困惑させますが、クリスティアンは遊びだったことを認めたうえで「権力も魅力のひとつだろ」と思わず本音を語ってしまいます。

翌日、クリスティアンのスマホにYouTube社から電話がかかってきました。

美術館側がアップした動画に30万回以上の視聴があるので広告を出さないか、という内容でした。

心当たりのないクリスティアンでしたが、『ザ・スクエア』の宣伝動画のことだと理解。

慌ててYouTubeの動画を確認してみると、展示物であるザ・スクエアの中に入った物乞いの金髪の少女が爆発に巻き込まれて木端微塵になってしまう過激な映像でした。

この動画は世間から激しいバッシングを浴び、SNS上でも大炎上。美術館では理事会が開かれる騒ぎとなってしまいます。

間の悪いことに、美術館では多くの招待客を集めたレセプションが開催。『ザ・スクエア』の展示でも起用されている猿男のパフォーマーをパーティー会場に登場させますが、猿男が想定外の暴走をしてしまいパーティーは大騒ぎになってしまいます。

後始末に追われてすっかり疲弊したクリスティアンが帰宅すると、マンションの前には手紙の男の子が。

謝罪するよう大声で詰め寄りますが、あまりのしつこさにクリスティアンは男の子を階段から突き飛ばしてしまいます。

なんとか家の中に逃げ込んだものの、男の子のことが気になるクリスティアン。男の子に謝罪しに行きますが、男の子の姿はありませんでした。

すると、クリスティアンはゴミ置場へ。大量のゴミ袋の中から、男の子が書いた手紙を探し出します。

書かれていた番号に電話をかけますが、電話はすでに解約。そこで、スマホに向かって謝罪の言葉を語り、録画した動画をアップしますが、謝罪の後半では「社会の仕組みに問題があるんだ。私のせいではない」との言い訳も…。

翌日、動画の炎上騒ぎを鎮静化するため、美術館では記者会見が開かれることに。その席でクリスティアンは謝罪するとともに辞任を発表しました。

翌日の新聞には『ザ・スクエア』の記事が大きく取り上げられ、皮肉にも炎上商法は大成功を収めます。

クリスティアンは、娘のチアリーディングの試合を応援したあと、男の子が暮らすアパートに向かいました。

アパートの部屋を一軒ずつ訪ねますが、中には脅迫状のことを把握していない住民も。その住民によれば、クリスティアンが探している男の子は引っ越してしまったとのこと。

車の中で、2人の娘とともに途方に暮れるクリスティアンでした…。

End

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『ザ・スクエア 思いやりの聖域』の感想・まとめ

 ネタバレを含みつつ、あらすじなどについてご紹介しましたが、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』では、軽はずみな行動によって謝罪へと追い込まれてしまう男性の姿が描かれていますが、リューベン・オストルンド監督の前作『フレンチアルプスで起こったこと』でも、妻子をほったらかして自分だけ逃げてしまった男性が奥さんから責められる姿が描かれていました。

どちらの作品にも共通しているのが、「エゴイズム」と「謝罪」。

日本でも最近、軽率な行動をとった人気男性アイドルが謝罪会見を開き、事務所との契約が解除となるニュースがあったばかりですが、取り返しのつかない過ちとはいえ、謝罪しただけでは許してもらえない世間の風潮について、この作品と重ね合わせてしまいました。

魔がさしてしまうことや誤った判断をしてしまうことは誰にでもありうることですが、現代社会においてその判断がどんな事態を招いてしまうのか?

そんな風刺的な内容も描かれていたように思います。

世の中は自分の思い通りにいかないことばかりですが、もし自分だったらどんな行動をとるだろう? 主人公のことを笑えるだろうか?

観客に対してそんな問いかけをしてくる作品でもありました。

男性スタッフが連れてきた赤ちゃんが会議中に泣き出すシーンだったり、講演会の最中に観客の一人が奇声を発するシーンだったり。さらには、猿男のパフォーマーが10分間にも渡ってパーティーをぶち壊すシーンだったり。

観客も一緒になってイライラ体験を共有することで、自分の寛容の度合いを試される場面が。

まさしく現代アートのように、観客ひとり一人が自由に感じ取ることのできる作品だったと思います。