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映画『ペンギン・ハイウェイ』あらすじ・ネタバレ(ラスト結末)と感想・考察!

映画『ペンギン・ハイウェイ』のネタバレです!

『夜は短し歩けよ乙女』で知られる森見登美彦の同名小説を、新進気鋭のクリエイターが集まるスタジオ・コロリドの石井祐康監督が長編アニメーションとして映画化した『ペンギン・ハイウェイ』

小学4年生のアオヤマ君がひと夏の不思議な体験を通して成長してくファンタジー作品です。

アオヤマ君が恋したお姉さんとペンギンの謎とはいったい?

今回はそんな映画『ペンギン・ハイウェイ』の詳しいあらすじやネタバレについて触れていきたいと思います。

※注意:結末ラストまでネタバレしていますので映画を見ていない方はご注意ください。


「ペンギン・ハイウェイ」のあらすじ

では、まずあらすじから。

自然が残る郊外の住宅街に暮らすアオヤマ君は、頭がよくて探求心旺盛な小学4年生。何事にも動じず、少し大人びていて、将来は偉い大人になるだろうと確信している自信家の男の子でした。

そんなアオヤマ君にとって一番の関心事は、歯科医院に勤めるお姉さんの存在。胸が大きく、どこかミステリアスなお姉さんのことを秘かに研究のテーマにしていました。

出典:http://penguin-highway.com/

夏休みを目前に控えたある日のこと。海のないこの住宅街に大量のペンギンが現れ、そして姿を消すという事件が発生。ペンギンたちはいったいどこから来てどこへ行ったのか?

アオヤマ君はこの謎を解明するため、探検隊として一緒に活動しているウチダ君とともに調査を開始。ペンギンが海から陸に上がるときの通り道にちなんで、プロジェクト名を「ペンギン・ハイウェイ」にしました。

2人は、学校裏の水路について研究する「プロジェクト・アマゾン」も掛け持ちしており、学校裏の水路を探索。すると2人の前に数羽のペンギンが。「もしかしてペンギン・ハイウェイかもしれない!」と後をついていきますが、途中で見失ってしまいます。

そこへ、クラスのガキ大将的存在であるスズキ君が仲間とともに現れました。以前からかわれたことを根にもっていたスズキ君は、アオヤマ君を自動販売機に縛りつけて去っていきました。

アオヤマ君は偶然その場に居合わせたお姉さんに助けてもらいますが、ひょんなことから乳歯を抜いてもらうことに。

乳歯を糸で結わき、一気に引っ張ろうとしますが、アオヤマ君が怖がって上手くいかないため、お姉さんは気をそらすためにコーラの缶を上空に放り投げました。すると、お姉さんの投げたコーラの缶がペンギンへと変身して地面に落下しました。

出典:http://penguin-highway.com/

呆気にとられるアオヤマ君でしたが、お姉さんは笑顔で「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるかな?」と言いました。

お姉さんとペンギンの出現には関係があるかもしれない…

アオヤマ君はペンギンの謎を解くため、お姉さんに実験への協力を依頼します。コーラ以外の缶や空き瓶、ボールやフライパンなどを上空に投げてもらいますが、いずれもペンギンには変身しませんでした。

お姉さんの話では、気分によって出来る日と出来ない日があるらしく、今日は出来ないとのこと。

いっぽうウチダ君は、自宅で秘かにペンギンを飼い始めていました。しかし、いっさい餌を食べないため、2人はペット用のゲージにペンギンを入れて水族館に向かいます。

ところが、その途中でペンギンがぐったりとしてしまい、ペンギンはコーラの缶へと姿を変えて、最後には消えてしまいました。

ペンギンのエネルギーは街から離れると消えてしまうのでは?
ペンギンのエネルギー源はお姉さんなのではないか?

アオヤマ君はこんな仮説を立てました…。

「ペンギン・ハイウェイ」ラスト・結末(ネタバレ注意!)

以下、ネタバレ含みます。

そんな時、優等生なクラスメイトのハマモトさんから研究を手伝ってほしいと頼まれます。アオヤマ君とウチダ君は彼女に連れられて森の奥へと入って行くと、直径5mくらいの透明な球体が草原に浮かんでいました。拡大と縮小を繰り返すこの球体に、ハマモトさんは「海」と名づけていました。

夏休み中、3人は「海」の観察記録をつけつづけます。さらに、「海」の内部を調査するため、レゴブロックで作った探査船を球体に投げ込みますが、吸い込まれたまま消息不明になってしまいました。

そんなある日のこと。秘密にしていた「海」がスズキ君たちに見つかってしまいます。すると突然、「海」が暴走しだし、いくつもの小さな球体が飛び出してきました。雷が鳴り響き、草原から逃げようとしたそのとき、「海」のまわりに無数のペンギンが現れて一斉に突進し、小さな球体を壊していきました。お姉さんがペンギンを出して助けてくれたのです。

アオヤマ君はハマモトさんに、お姉さんにも「海」の共同研究に参加してもらおうと提案しますが、アオヤマ君とお姉さんとの間柄に嫉妬したハマモトさんは、お姉さんの参加を頑なに拒否しました。

その頃、街では謎の生物の目撃情報が頻発。そして、お姉さんの体調にも異変が。海が拡大するとお姉さんの体調も良くなり、縮小すると体調も悪くなっていました。アオヤマ君は「海」の大きさの変化とお姉さんの体調に相関関係があることに気づきます。

いっぽう、「プロジェクト・アマゾン」にも進展が。学校裏の水路がメビウスの輪のようにつながっていて、不思議なことに水源も存在していませんでした。

お姉さんはアオヤマ君を誘って自分が生まれ育った海辺の街へ。しかし、電車の中でお姉さんの体調がどんどん悪化し、海辺の街に行くのは中止に。どうやらお姉さんもペンギン同様、「海」をエネルギー源としており、「海」から離れてしまうと体調を崩してしまうらしい…。

出典:http://penguin-highway.com/

お姉さんの話では、体調が悪いときには「鏡の国のアリス」に出てくるジャバウォックが現れてしまうとのこと。しかも、ジャバウォックはペンギンを捕食する生き物。この現象に関して、お姉さん自身も理由はわかっていませんでした。

すべての研究に行きづまっていたアオヤマ君でしたが、「世界の果ては、外側ではなく内側に折りたたまれているのかも知れない」というお父さんの助言がヒントとなり、ある仮説を立てました。

「海」とは世界にあいた穴であり、ペンギンはその穴を修復しようとしていたのではないか?と…。

新学期が始り、教室ではスズキ君がジャバウォックを捕まえたと大騒ぎ。さらに、国立科学技術大学の研究所に勤務するハマモトさんのお父さんから「海」についても尋ねられ、スズキ君は秘密をばらしてしまいました。その結果、大学の調査隊が「海」を徹底調査することとなり、森の奥は立入禁止に。

それから数日後。「海」が街を覆いつくすまでに膨張し、調査隊を飲み込んでしまいました。住民にも避難勧告が出されて、学校は騒然となります。

そんな中、ハマモトさんのお父さんを助け出すため、アオヤマ君とウチダ君とハマモトさんは学校を抜け出します。しかし、街のいたる所に警察官の姿が。そんな3人を援護してくれたのはスズキ君でした。

ウチダ君、ハマモトさん、スズキ君が警察官に取り押さえられる中、アオヤマ君はお姉さんの力を借りるためにカフェへと走ります。

いつも2人でチェスをしていたカフェにはお姉さんが1人で座っていました。「お姉さんは人間じゃないですね?」とアオヤマ君は自分の仮説を話しました。

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アオヤマ君の仮説では、「海」とは世界の歪みで、お姉さんとペンギンは「海」からエネルギーをもらっているとのこと。ペンギンは世界の歪みを修復しており、その歪みが修復されて「海」が小さくなると、お姉さんの具合も悪くなることを解明。

「すごい、よく考えたね」とお姉さんはアオヤマ君を褒めました。

調査隊を助けるためには膨張した「海」を破壊する必要が。そして「海」を破壊するにはお姉さんにペンギンを出してもらう必要があるため、アオヤマ君はお姉さんに協力をお願いします。

お姉さんが出したペンギンの大群の上に乗ってアオヤマ君とお姉さんは住宅街を爆走し、森を抜けて「海」の中へと突進。天地が逆転する「海」の中で、2人は行方不明中の調査隊を発見しました。

調査隊を救出するためには膨張した「海」を完全に破壊する必要がありますが、「海」が消えてしまえばお姉さんも消えてしまう…。「海」を少しだけ残すことはできないの?と尋ねますが、どうなってしまうのか、お姉さんにも分かりませんでした。

ペンギンたちは次々と「海」を破壊。街を覆いつくすまでに膨張した「海」は消滅し、アオヤマ君は調査隊を連れて無事に帰ってくることができました。レゴブロックで作った探査船も発見されます。

別れの時間が近づいているのを察したお姉さんとアオヤマ君はふたたびカフェへ。アオヤマ君はお姉さんの大きな胸に顔をうずめ、「いつかこの謎を解明して、必ずお姉さんに会いに行くからね」と言って最後のお別れをしました。そして、ペンギンが消えるようにお姉さんも消えていきました…。

ひと夏の不思議な経験を通じて成長したアオヤマ君は、どれだけお姉さんのことが好きだったのかを伝えるため、日々精進して偉い大人になると誓うのでした。

End

「ペンギン・ハイウェイ」の感想

ネタバレを含みつつ、あらすじなどについてご紹介しましたが、子供向きのアニメ作品だと思って鑑賞したのですが、かつて自分が小学生だった頃の思い出がよみがえてくる、大人世代にはどこか懐かしくてグッとくる作品でした。映像も美しく、キャラクターも魅力的で、心に深く残るファンタジー作品です。

頭がよくて自分は特別な存在だと思っている主人公の自意識過剰っぷりも可笑しかったですが、彼の周辺で起こる不思議な現象を解き明かしながら、騒動の終結へと展開していく過程が、アニメーションならではの表現力で魅力的に描かれており素晴らしかったです。

とくに終盤の、上下左右が反転した『海』の世界をペンギンの大群とともに爆走するシーンには心躍りました。

心躍る要素はほかにも。小学生の男子にとって10歳以上も歳の離れたお姉さんは憧れの存在ですが、そんなお姉さんとカフェでチェスをしたり、お姉さんの部屋を訪ねたり、お姉さんと旅行に出かけたり…。ちょっとだけ背伸びをする少年の体験が随所に描かれていて、こちらまでワクワクドキドキ。と言ってもあまりエロさは感じられず(「おっぱい」を連呼していますが・笑)、あくまでも憧れの存在として描かれている点にも好感が持てました。

アオヤマ君やお姉さん以外の登場人物も魅力的に描かれており、とくにお父さんからの優しさがこもったアドバイスは心に染みました。

ファンタジー作品なので、不思議な現象の謎がはっきりと解明するわけではありませんでしたが、夢と希望がつまった素敵なラストだったと思います。宇多田ヒカルがこの作品のために書き下ろした主題歌『Good Night』も作品にぴったりの楽曲でした。

「ペンギン・ハイウェイ」の考察

お姉さんは何者だったのか?


出典:http://penguin-highway.com/

お姉さんは、近所の歯科医院に勤務し、アオヤマ君が憧れる胸の大きな女性ですが、何日間も食事をしなかったり、街から離れると体調を崩してしまったり、そしてペンギンやジャバウォックを作ることができてしまう謎の存在として描かれています。

終盤で明かされる真相とは、お姉さんが人間ではないということ。

しかし、お姉さん自身もそのことを分かっておらず、自分のことを人間だと思っています。だからこそ「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるかな?」と探求心旺盛なアオヤマ君に問いかけました。

物語が進むにつれて、お姉さん自身も自分が人間でないことに気づきはじめますが、「もし人間でないのなら、海辺の町の記憶はなんなのだろう?全部作りもの?」といった疑問が。

結局、お姉さんが何者であったのかの答えは明確には示されず、アオヤマ君が大人になったらその謎を解いて会いに行くという終わり方に…。

おそらく彼女は、世界にあいてしまった「海」という穴を修復するために現れたのだと思いますが、アオヤマ君と出会えたことはお姉さんにとっても運命的なものだったと思います。

思春期(前期)の小学4年生


出典:http://penguin-highway.com/

ものすごく頭がよく、すべてを論理的に考える小学4年生のアオヤマ君は、お姉さんのおっぱいに夢中で、研究の対象としてノートにも記録。想像上のおっぱいを描いてみたり、ケーキ屋でおっぱいの形をしたケーキを観察したり、親友のウチダ君が顔を赤らめても平気で「おっぱい」と連呼しますが、これらは子供から大人へと成長する過程の自然な変化なのだと思います。

小学4年生にして「怒りそうになったら、おっぱいのことを考えて心を鎮める」という迷言には笑いました。

お姉さんのおっぱいは大好きなのに、お姉さんの顔を見ると嬉しくなってしまう理由には気づいていないアオヤマ君。しかし、研究が進むにつれて自分の中のお姉さんに対する感情の正体に気づいていきます。それでも「好きだ」とは言えずに「お姉さんのおっぱいが好き」と言って本心を隠そうとする姿がなんとも子供らしいと思いました。

映画のラストでお姉さんがいなくなり、彼女のことが本当に好きだったことを悟るアオヤマ君でしたが、頭の中で考えた仮説よりも自分の感情が大事であることに気づけた瞬間だったのだと思います。

「いつか偉くなってお姉さんの謎を解き、また会いにいく」と言ったアオヤマ君が思春期を経てどんな大人になっていくのか、頭の中で想像してしまいました。

ペンギンの正体


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住宅街に突如現れたペンギンたちは、実はお姉さんが作り出していたものでしたが、ボールのようにコロコロ転がったり水路を気持ちよく泳いだりする姿はなんとも愛らしかったです。

そんなペンギンたちが現れた理由は、「海」を修復して世界を正常に戻すこと。そのためにお姉さんはペンギンを作り出していたのです。いっぽう、ペンギンを捕食するジャバウォックもお姉さんが作り出していました。

お姉さんは「海」をエネルギー源としており、「海」の大きさによってお姉さんの体調も変化。お姉さんがペンギンを作り出すと、そのペンギンたちが「海」を小さくするため、お姉さんの体調は悪くなる。その逆に、ジャバウォックを生み出すとペンギンたちを食べてくれるため、「海」は小さくならずにお姉さんの体調も良くなる…。

ラストでは、ペンギンの大群が「海」をすべて破壊して、お姉さんも消えてしまいますが、なぜペンギンなのか? その理由は映画では説明されていません。海から陸へと上がるペンギンたちがつらなって歩く道のことを「ペンギン・ハイウェイ」と呼ぶそうですが、この言葉と少年の成長とを重ね合わせてペンギンが用いられたのかと思います。

「海」とはいったい?

森の奥に浮かぶ直径5mくらいの透明な球体を「海」と呼んでいましたが、触わろうとすると棘のようなものを出して威嚇したり、拡大と縮小を繰り返す謎だらけの物体です。

「海」とは、この世に存在してはいけない世界の歪みであり、放置しているとどんどん大きくなって世界を飲み込んでしまう危険な物体でした。そのため、ペンギンたちが「海」を小さくして世界の歪みを直していたわけです。

「海」がどうやって現れたのか?
「海」をエネルギー源としているお姉さんはどうやって生まれてきたのか?
これらの謎は、映画では明かされておらず、アオヤマ君の研究テーマとなります。

アオヤマ君のお父さんの教育方針


出典:http://penguin-highway.com/

出番は少ないものの、程良い距離感でアオヤマ君をサポートするお父さんの教育方針がとても素晴らしかったです。

息子が疑問に思ったことに対して、答えを教えるのではなく、解き方や考え方を教える。この教育方針があったからこそ、アオヤマ君はノートを取るようになり、研究をするようになったのでしょう。アオヤマ君が寝た後に、そっとノートを覗き込んで、読んだ印としてチョコレートを置く場面が印象的でした。

また、アオヤマ君が行きづまってしまったときに優しく助言するお父さんの言葉には真理がつまっていました。

「大事なことはすべて1枚の紙に書いてみて、それを何度も眺めなさい。そうすれば答えに近づく。それでもダメなら、いったん考えることを止めてみよう。すると、ふとした瞬間に答えが下りてくるかもしれない。人はそうやって気づいていないうちに無意識に頭の中で整理して考えているんだよ」

こんな風に言ってくれる父親がいてくれたらなと思うと同時に、自分は子供にこんな風に言えるだろうか?考えさせられてしまいました。