映画『ファントム・スレッド』のネタバレです!
1950年代のロンドンを舞台に、男と女の愛をめぐるスリリングな攻防戦を描いた『ファントム・スレッド』。
主演は、アカデミー主演男優賞を3度受賞し、本作で俳優業の引退を表明しているダニエル・デイ=ルイス。
監督・脚本は、ダニエル・デイ=ルイスと2度目のタッグとなる名匠ポール・トーマス・アンダーソンです。
本作は第90回アカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞。華やかで美しいドレスの数々も見どころです。
今回はそんな映画『ファントム・スレッド』の詳しいあらすじやネタバレについて触れていきたいと思います。
※注意:結末ラストまでネタバレしていますので映画を見ていない方はご注意ください。
映画『ファントム・スレッド』のあらすじ
では、まずあらすじから。
1950年代のイギリス・ロンドン。天才的ファションデザイナーのレイノルズ(ダニエル・デイ=ルイス)は、姉のシリル(レスリー・マンヴィル)とファッションブランドを立ち上げ、社交界のセレブを相手にオートクチュールでドレスを仕立てていました。
仕事に没頭するあまり同居する恋人にも冷たくあたるレイノルズに、シリルはリフレッシュをしてくるようアドバイス。レイノルズは郊外にある別荘へと向かいます。
朝食に立ち寄ったレストランで、不器用な仕事ぶりのウェイトレスに目を奪われてしまったレイノルズ。注文をとりにきた彼女をディナーに誘います。
彼女の名前はアルマ(ヴィッキー・クリープス)。デザイナーであるレイノルズにとって彼女は自分好みの体型だったのです。
アルマを連れて別荘に戻ったレイノルズは、さっそく彼女のサイズを採寸し、ドレス作りをはじめました。
その後、レイノルズはアルマを自宅兼仕事場へと連れて行き、2人は公私ともに交際をスタート。
アルマは、全神経を集中させて仕事をするプロ意識の高いレイノルズに惹かれ、いっぽうのレイノルズも、アルマの存在に刺激をうけて次々と新しいドレスを発表。彼女のモデルとしての資質の高さにも惹かれていきます。
こうして2人は仕事上でも欠かせない関係になっていきますが、私生活においてはアルマのガサツな行動にイライラを募らせていたレイノルズ。アルマは、仕事に集中したいレイノルズの逆鱗に触れてしまいます。
そんな中、結婚パーティー用のドレスの注文が入りました。その結婚パーティーに出席したレイノルズとアルマでしたが、ドレスを雑に扱う客にレイノルズが激怒。アルマはレイノルズに代わって客からドレスを奪い取ります。
このことがキッカケで2人の絆は強固に…。
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映画『ファントム・スレッド』のラスト・結末(ネタバレ注意!)
以下、ネタバレ含みます。
それからすぐ、ベルギーの王女からウエディングドレスの発注が入りました。レイノルズは全身全霊で制作に取りかかります。
アルマはレイノルズを喜ばせようと思って、彼のために手料理をふるまいますが、料理の味つけをめぐって2人は口論に。
せっかくの好意を理解しようともせず、無神経な態度をぶつけてくるレイノルズへの不満が爆発したアルマは、森で採ってきた毒キノコをすりつぶし、彼が飲むお茶に混ぜて飲ませました。
毒による中毒症状によって体調を崩したレイノルズは、完成したばかりのウエディングドレスの上に倒れてしまいます。
激しい嘔吐と高熱に苦しむレイノルズを、アルマは必死に看病。高熱にうなされながらレイノルズは亡くなった母親の姿を見ていました。
いっぽう姉のシリルは、納期に間に合わせるため、破損してしまったウエディングドレスを作り直す作業に。
ウエディングドレスの修復もなんとか間に合い、レイノルズの体調も回復。レイノルズは献身に看病してくれたアルマにプロポーズをし、2人は結婚式を挙げました。
ところが、年齢差や習慣の違いから結婚生活はギクシャク。結婚したことを後悔しているレイノルズは、「アルマのせいで仕事に集中できない」とシリルに打ち明けますが、アルマはその会話を聞いてしまいます。
アルマはふたたび森へ行き、毒キノコを採ってきてオムレツの中に入れました。
仕事をしながら調理過程を見ていたレイノルズは、そのオムレツが毒入りであることを察しますが、口に入れてしまいます。
「あなたを助けられるのは私だけよ」と誇らしげに語るアルマに、レイノルズはキスをしました。
その後、レイノルズはキノコの毒にあたって体調を崩しますが、アルマの献身な看護によって回復。
それから時間が経ち、2人の間には赤ちゃんが。そしてアルマは、レイノルズの仕事上のパートナーとしても欠かせない存在となるのでした…。
End
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映画『ファントム・スレッド』の感想・まとめ
ネタバレを含みつつ、あらすじなどについてご紹介しましたが愛を知らない孤独な男の心の扉をこじ開け、愛を教えようとする女。
恋愛の主導権をめぐる男女の攻防戦が描かれている『ファントム・スレッド』ですが、ポール・トーマス・アンダーソン監督は、2人の主導権の奪い合いを緻密な脚本と演出によってスリリングに見せてくれます。
恋愛において、価値観や考え方、習慣の違いから相手と衝突したり不満をもつことは、きっと誰もが経験していることですが、それにしてもレイノルズの神経質っぷりは尋常ではありません。いっぽう、アルマの無神経っぷりも相当のものでした。
普通に考えれば合わない2人ですが、互いを認め合い、求め合う存在であると確信しているからこそ、2人にしか理解できない方法で決着をつけようとしたわけで、2人の関係性が徐々に変わっていき、予想もしなかった方向へとむかっていく展開には驚かされました。
細かいシーンに隠された演出の意図についても検証したくなる、何度でも観たくなる作品でしたが、レイノルズが作り出すドレスの数々も、何度でも観たくほどエレガンスで美しいものばかり。
この作品のもう一人の主役とも言える存在感で、アカデミー賞の衣装デザイン賞を受賞したのも納得です。
なお、この作品で俳優を引退すると表明しているダニエル・デイ=ルイスですが、彼の素晴らしい演技がこれで見納めだなんて。まだまだ観つづけたいと心から思いました。