映画

『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』映画のあらすじ・ネタバレ(ラスト結末)と感想!

映画『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』のネタバレです!

フロリダの安モーテルで生活するシングルマザーと6歳の女の子。そんな母子の姿を通して、アメリカの貧困家庭の生活をリアルに描いた『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』。

監督は、全編iPhoneで撮影した『タンジェリン』で世界中を驚愕させたショーン・ベイカーです。

モーテルの管理人を演じたウィレム・デフォーは、この作品で第90回アカデミー助演男優賞にノミネートされました。

今回はそんな映画『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』の詳しいあらすじやネタバレについて触れていきたいと思います。

※注意:結末ラストまでネタバレしていますので映画を見ていない方はご注意ください。


『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』のあらすじ

物語の舞台は、アメリカ・フロリダ州のディズニー・ワールドすぐ近くにある「マジック・キャッスル」という安モーテル。

もともとはディズニー・ワールドを訪れる観光客向けのモーテルでしたが、宿泊代が安いことから貧困家庭が住居代わりに利用するように。

6歳のムーニーは、シングルマザーのヘイリーと3階の部屋で生活していました。

学校が夏休みに入り、暇をもてあましているムーニーは、同じモーテルに暮らすスクーティー、ディッキーとともにいたずらをして過ごすのが日課です。

この日は、近所のモーテルに行って車にツバを飛ばす遊びをしていましたが、車の持ち主に見つかってしまいます。

ムーニーは部屋へと逃げこみますが、モーテルの管理人であるボビー(ウィレム・デフォー)が車の持ち主とともに訪ねてきました。

全身タトゥーだらけの母親・ヘイリーは、煙草をプカプカ吸いながら乱暴な言葉遣いでやり過ごそうとしますが、「トラブルを起こすなら、部屋から出ていってもらうぞ」という脅し文句が効いてしぶしぶ対応。

ムーニーに車の掃除をさせました。ムーニーはこのとき、車の持ち主が世話をしているジャンシーという女の子と友達になります。

いっぽう、ディッキーはこの一件でムーニーたちと遊ぶのを父親から禁止されてしまいました。

翌日からムーニーは、スクーティー、ジャンシーと3人で遊ぶようになります。

モーテルの機械室に勝手に入って主電源を落としたり、プールサイドで日光浴をしているトップレスの老婆に罵声を浴びせたり、アイスクリーム屋の前で客に嘘をついてお金を恵んでもらったり…

ある日のこと。近所の廃屋に忍びこんだ3人は、放置されていた枕に火をつけ、そのまま逃げ去ってしまいます。

その後、消防車が出動するほどの騒ぎになってしまいますが、ムーニーを連れて野次馬にやって来たヘイリーは、燃えさかる廃屋の前で記念撮影する能天気ぶり。

いっぽう、スクーティーの様子がおかしいことに気づいた母親のアシュリーは、息子に理由を問いただして真相を知ることに。

今まで家族ぐるみの付き合いだったヘイリーとアシュリーでしたが、この一件でアシュリーはヘイリー母子と絶縁。スクーティーにはムーニーと遊ぶことを禁じました。

ムーニーの遊び相手はジャンシーだけになってしまいます…。

[adrotate banner=”3″]

『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』のラスト・結末(ネタバレ注意!)

以下、ネタバレ含みます。

今まではアシュリーが勤務するレストランの残り物をもらって食いつないでいたヘイリー母子ですが、アシュリーと絶縁状態になってしまい、日々の食事を調達するのも困難な状況に。

定職についていないヘイリーは、近隣の高級ホテルに泊まっている客たちに偽ブランド品の香水を販売して日銭を稼ぎますが、警備員に見つかり香水を没収されてしまいます。

そのうちモーテルの宿泊費も滞納するようになり、もっと安いモーテルへ移ろうとしますが、料金が値上がりしていて移ることもできません。

ヘイリーは自分の水着姿の写真をWeb広告に出して、モーテルの部屋で売春を始めました。仕事の間、ムーニーにはバスルームでひとり遊ばせながら…。

ある日のこと、ヘイリーの部屋のドアを叩く男性の姿が。管理人のボビーが事情を尋ねると、「ヘイリーにディズニー・ワールドの入場バンドを盗まれた」という理由で怒鳴りこんできたのです。

この男性の言うとおり、ヘイリーは男性を部屋に連れこんで売春した際、鞄の中から入場バンドを盗んで、それを転売していました。

事情を察したボビーは、ひとまず男性をなだめて警察沙汰にはしないよう説得。いっぽう、ヘイリーに対しては「外部の人間を部屋に入れるな。守れないならモーテルから出ていってくれ」と厳重注意。

ところが、事態を収めてくれたボビーにまで悪態をつくヘイリーでした。

それから数日後、モーテル内の住人たちに避けられていると感じたヘイリーは、絶縁状態になっているアシュリーの部屋を訪ねます。

とりあえず表面的に謝罪をして、住人らが自分を避けている理由について尋ね、しまいには「お金を貸して」と手まで合わせますが、アシュリーは「お金は貸せない」と冷たく言い放ちました。そして、「あなたが部屋に男を連れこんで売春していることは、ここの住人は全員知ってるわ」と言ってスマホを取り出し、水着姿のヘイリーのWeb広告を本人に見せました。

激昂したヘイリーは、アシュリーの顔面を何度も殴り、自分の部屋に戻りますが、その数時間後、ヘイリーの部屋の前には児童家庭局の職員が。アシュリーからの通報で実態調査にやって来たのです。

ヘイリーと職員との間で話し合いが行われました。

数日後、ヘイリーはムーニーを連れて近くの高級ホテルのランチビュッフェへ。目の前に並ぶご馳走にムーニーは大興奮です。

しかし、モーテルに戻ると部屋の前には大勢の大人たちが。児童家庭局の職員がムーニーを保護しに来たのです。

ヘイリーは職員の指示に従ってムーニーの荷物をまとめますが、このモーテルから去らなくてはならないことを察知したムーニーは、「友達にお別れを言いに行きたい」と言って職員とともにスクーティーの部屋を訪ねました。

ムーニーはスクーティーに別れを告げますが、職員の隙をついてモーテルから逃走。向かった先は親友のジャンシーが暮らすモーテルでした。

「お願い、助けて」と泣きながら訴えかけるムーニー。ただ事ではないと感じたジャンシーは、ムーニーの手をとって全速力で走ります。

そして、2人が辿りついた先は、モーテルから近い場所にありながら、一度も行ったことがないディズニー・ワールドでした…。

End

[adrotate banner=”3″]

『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』の感想・まとめ

ネタバレを含みつつ、あらすじなどについてご紹介しました。

フロリダのあざやかな青空、パープルやピンクに塗装されたモーテルの壁面、テーマパークにあるようなキュートな外装のお店、子どもたちが着ている色鮮やかな洋服…

とにかく色彩がキレイで、目を奪われるほどの映像美なのですが、この作品で描かれているのはなんとも厳しい現実です。

ディズニー・ワールドという夢の国と、すぐ近くにあるホームレス寸前の貧困家庭が住みかにしている安モーテル。

持つ者と持たざる者との対比に胸が締めつけられそうになりますが、物語は6歳の子どもの目線で進んでいくため、多少は救いのある作りに。

対比と言えば、子ども同士の無邪気な世界と、大人の事情で振りまわされていく世界とのバランスも絶妙に作られています。

シングルマザーのヘイリーは、言葉遣いや態度も悪く、生きるためなら平気で犯罪にも手を染めてしまう(しかも娘も巻き込んで)救いようのない最低人間。

親身になってくれる管理人のボビーにまで悪態をつき、唯一の友人だったアシュリーからも絶縁されてしまいますが、そんな人物であってもムーニーにとっては大好きな母親です。

しかし、このままずっとヘイリーと一緒に暮らしていたらムーニーはどんな大人になってしまうのか?

ムーニーの将来を考えたら、やはり児童家庭局に保護してもらうのが最善だと考えます。

ただ、映画のラストは、ディズニー・ワールドという夢の世界へ現実逃避したシーンで終わるので、解釈は人それぞれ。

現在のアメリカ社会が抱える格差問題、とくに貧困と負の連鎖についてリアルに感じられる作品でした。