映画『友罪』のネタバレです!
自分の隣りで静かに微笑む友人が、かつて日本中を震撼させた凶悪事件の犯人だったら?
事件の加害者側に焦点をあてた薬丸岳の『友罪』を、生田斗真と瑛太のダブル主演で実写映画化。監督は『64 -ロクヨン-』などで知られる瀬々敬久監督です。
佐藤浩市や富田靖子も熱演、見応えのある社会派ドラマになっています。
今回はそんな映画『友罪』の詳しいあらすじやネタバレについて触れていきたいと思います。
※注意:結末ラストまでネタバレしていますので映画を見ていない方はご注意ください。
映画『友罪』のあらすじ・ストーリー
上司の方針に従えずに仕事を辞めた、元雑誌記者の益田純一(生田斗真)。彼が辿り着いたのは、寮のある町工場でした。
同じ日に、自分と同世代の鈴木秀人(瑛太)も入社しますが、彼は自分のことを一切語らず、他人との交流を避けるような人物でした。
そんな鈴木を不審に思った寮の先輩と益田は、彼の留守中に手荷物を物色。
サバイバルナイフのほか、中年女性の全裸が描かれたスケッチブックや顔の部分が消されている家族写真などが出てきます。
寮では部屋が隣同士の益田と鈴木。毎晩何かにうなされている鈴木の声に起こされ、益田自身も中学時代の封印したい記憶がよみがえっていました。
ある晩のこと。酔いつぶれた寮の先輩を介抱したことがキッカケで益田と鈴木は会話を交わすように。
「自殺した中学時代の同級生にどこか似ている」と話しかけた益田に対し、「じゃあ、もし俺が自殺したら悲しい?」と鈴木が質問。益田は戸惑いながらも「悲しいに決まってるだろ」と答えました。
そんな中、寮の近辺で児童殺人事件が発生。ニュースでも大きく報じられますが、SNSでは17年前に日本中を震撼させた凶悪事件との類似性が指摘されます。
その凶悪事件とは、当時14歳だった少年Aが2人の児童を殺害したというもので、少年Aは少年院に送られたもののすでに出所しており、行方を知る者はいません。
益田の元恋人で雑誌記者の杉本清美(山本美月)は、上司からの指示で17年前の事件との関連性を探っていました。
ある日のこと。鈴木は、男に追いかけられていた若い女性をかばって殴られてしまいます。彼女の名は藤沢美代子(夏帆)。東京で一人暮らしをしていた頃に付き合っていた男から執拗につきまとわれていたのです。
どこか陰のある者同士、2人は惹かれ合っていきます。
それから数日後。慣れない仕事で疲労がたまっていた益田は指2本を切断する大事故に。
工員らがパニックになる中、鈴木だけは冷静に対処。切断された指を氷水の中へ。病院まで搬送してくれたタクシー運転手・山内(佐藤浩市)の協力もあって縫合手術は成功します。
たまたま益田を病院まで送り届けたタクシー運転手の山内ですが、彼にも消し去ることのできない過去が。10年ほど前、息子が無免許で車を運転し、3人の児童を死亡させていたのです。
その後、山内の家族は離散。彼は10年経った今でも遺族のもとを訪ねて謝罪をしつづけていました。
そんななか、息子が結婚を考えているという連絡が入り、山内は言葉を失います…。
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映画『友罪』のラスト・結末(ネタバレ注意!)
以下、ネタバレ含みます。
益田のケガも快方に向かい、寮の仲間たちがカラオケスナックで退院祝いを開いてくれました。鈴木の隣には美代子の姿も。
カラオケをしたことがないという鈴木でしたが、美代子と一緒に楽しそうにアニメソングを歌う鈴木。益田はその様子をスマホの動画で撮影しました。
寮に帰ってからスマホを見ると、清美から「17年前の事件について意見を聞かせて」というメールが。益田はパソコンを開いて事件のことを検索。当時14歳だった「少年A」こと青柳健太郎の顔写真を見て愕然とします。
その写真は、まだ幼さが残る鈴木によく似た少年でした。さらに検索をしていくと、少年院で青柳を担当していた白石(富田靖子)の写真が。それは、鈴木のスケッチブックに描かれていた女性でした…。
そんな白石ですが、少年院での仕事に力を注ぎこみすぎるあまりに家族との間で溝が。高校生の娘から中絶手術の同意書を渡され、戸惑っていました。
いっぽうタクシー運転手の山内は、ずっと会っていなかった息子と再会。「お前のために家族を解散したっていうのに、お前が家族をつくってどうするんだ!」と怒りをぶつけます。
その頃、寮のポストにはDVDが投函されていました。それは美代子がかつて出演したAV作品で、昔の男が美代子への嫌がらせで送りつけてきたものでした。
寮の先輩たちはわざとそのAVを益田と鈴木に見せようとしますが、過去に苦しめられている人の気持ちが分かる鈴木は、バットを取りだしテレビを叩き壊してしまいます。
美代子のことが心配な鈴木は彼女のマンションへ。そこには昔の男が来ていました。
美代子の盾となり、一方的に暴行される鈴木。自分からはいっさい手を出さず、「もっと殴れ。人を殺すのは簡単だ。経験者だから分かるんだよ!」と言って自らの頭を石で殴りはじめました。
翌日、鈴木の過去がどうしても気になる益田は、17年前の犯行現場へと足を運びます。青柳の幼なじみから直接話しを聴くことができた益田。カラオケで歌う鈴木の動画を見せ、鈴木と青柳が同一人物であることを確認します。
幼なじみの証言によれば、母親が死んでから彼の様子が変わりはじめ、虫や猫を殺すようになったとのこと。
益田は、集めた証言をもとに鈴木に関する調査結果をまとめ、清美に読ませました。その際、カラオケの動画も見せてしまいますが、益田が知らない間に写真を撮られてしまいます。
後日、清美が盗み撮りした写真とともに「少年A」の現在の様子が雑誌に掲載。鈴木が「少年A」であることが、寮の先輩や美代子にも知られてしまいます。
鈴木は手紙を残して寮を去っていきました。そんな彼が向かった先は、17年前に自分が児童を殺害した2カ所の現場でした。
いっぽう、益田もある場所に来ていました。そこは、中学時代の同級生が手首を切って自殺した木の下でした。
『一番小さな声を聴け』というサイトに自らが犯した罪を綴った益田。
クラスでいじめられていた親友が自殺する直前、助けを求める電話をしてきたのに、「勝手にすれば」と言って親友を見捨ててしまったことが書かれていました。
そして、文章の最後には「死なせたくないから。今度こそ生きていてほしい。友達だから」と綴られていました…。
End
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映画『友罪』の感想
ネタバレを含みつつ、あらすじなどについてご紹介しましたが人間、生きていれば何かしらの罪を犯してしまうものですが、その罪とどう向き合っていけばいいのか? 罪を償うとはどういうことなのか?
『友罪』はそんな重いテーマについて考えさせられる作品でした。
どの登場人物も他人には言えない秘密や罪を抱えて生きており、それゆえ孤独と闘っている。
その姿は見ていてとてもつらいものでしたが、その罪が他人の命を奪ってしまうものであった場合、被害者遺族側の心情にたてば当然許せるはずもなく、答えの出ない問題なのだと感じました。
役者ひとり一人の演技は素晴らしく、とくに元「少年A」を演じた瑛太の不気味な表情が頭から離れません。
AV出演の過去を隠して人目を避けながら生きている女性を演じた夏帆の演技も良かったと思います。
ただ、映画全体で見た場合、ひとり一人の掘り下げ方が足りないのか、エピソードを盛り込みすぎてしまったからなのか、バランスが悪い印象も。
個人的には、「少年A」が17年間抱えてきた苦悩についても知りたかったですし(劇中、益田の調査結果という形で説明されますが)、富田靖子のエピソードも中途半端になってしまった感があって勿体ないなと感じました。
とはいえ、つらい過去から目をそらさず、ちゃんと向き合って生きていく強さがラストでしっかりと描かれていて、上手にまとまっていたと思います。
自分の過去と向きあう勇気が欲しい人が観たら、気持ちに変化が起きる作品かもしれません。