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『アバウト・レイ 16歳の決断』のネタバレ・あらすじを紹介!

映画『アバウト・レイ 16歳の決断』は、アカデミー賞を受賞した『リトル・ミス・サンシャイン』の制作陣による、トランスジェンダーやLGBTの人々を描いた作品になります。

主演には、『パーティーで女の子に話しかけるには』のヒロインや、『マレフィセント』でオーロラ姫役を演じるなど、今、大人気の女優、エル・ファニング。

また、『キングコング』のナオミ・ワッツが母親役、名女優スーザン・サランドンがレズビアンの母親役を演じるなど、話題の3世代女優が出演しています。

そんな『アバウト・レイ 16歳の決断』の詳しいあらすじやネタバレについて触れていきたいと思います。

※『アバウト・レイ 16歳の決断』のラスト結末までネタバレしていますのでご注意ください。


『アバウト・レイ 16歳の決断』あらすじ・ストーリー

NYに暮らす16歳のラモーナ(エル・ファニング)は女性に生まれましたが、自分の性別に違和感を覚え、男性になりたいと願うトランスジェンダー。

ラモーナはレイという男性名を名乗り、性転換を希望していました。

ラモーナは、ホルモン治療を受けることを決意し、医師に家族と説明を受けます。

病院には、母マギーと、レズビアンである祖母ドリー(スーザン・サランドン)、祖母の恋人である女性・フラニー(リンダ・エモンド)の姿が。

祖母のドリーは娘であるマギーにラモーナへの疑問を口にします。

「なぜレズビアンじゃいけないの?」と。母のマギーは、レイの希望を叶えてあげたいと思いますが、困惑し、ドリーと衝突します。

レイは、スマートフォンで自分や生活の風景を撮りながら、率直な想いを述懐していました。

レイは、女性として暮らしている今の高校から転校し、新しい高校で男性として再スタートを切りたいと願っていたのです。

そのためにホルモン治療が必要なのですが、未成年であるレイには、治療の契約書に、両親の同意が必要なのでした。

しかし、母のマギーは、別れた夫がどこに行ったか行方が分からず、苦悩します。

彼女は、レイが生まれる前に別れてしまった、レイの父親であるクレイグ(テイト・トノヴァン)を探そうとします。

レイは、父の同意書のことなどを隠すマギーの態度に不信感を抱き、言い争います。

マギーは、クレイグの居場所を突き止めますが、一軒家から現れたのは、クレイグの新しい若い妻と、子どもでした。

新しい家族を得て平和そうなクレイグに、苦労をしてレイを育てたマギーは、なんとなく釈然としません。

クレイグは、娘のラモーナが男性になりたいという気持ちを理解できずにいました。

マギーはクレイグと言い争いになってしまい、同意書にサインさせることを失敗してしまいます。

レイは、高校に好きな女の子がいますが、自分の性別のために、想いを打ち明けられず、しかし、いつか男性になって彼女を恋人にしよう、という希望を持っています。

マギーとドリーは、アルバムを整理します。以前の女性のラモーナと、男性であるレイとしての記録を整理するために。

ドリーは、二人の男性と映るマギーの写真を見つけ、「あなたはもてたわね」と言いながら、マギーの昔の男性たちとの過ちについて触れます。

ある時、レイは、ホルモン治療を受けているために、他の高校の不良から目をつけられ、スマートフォンを取られそうになります。応戦しますが、殴られてしまい、靴を置いてきてしまいます。

意気消沈をして家に帰ったレイに、家族は同情しながらも、温かく迎えいれ、マギーとドリーは、一緒に靴を取り戻しに行ってくれるのでした。

殴られた痣の残るレイに、憧れの少女が声をかけながらも、「女を殴るなんて最低ね。男たちに立ち向かうなんて勇敢だわ。」と言ってレイを励まします。

レイは、憧れの彼女は、自分を男性ではなく、あくまでも女友達として優しくされていることを知り、とても傷つきます。いつか男になりたい、と、レイは強く思います。

マギーは、ドリーに自立してアパートを出ていくようにと言われます。クレイグの契約書のサインのことも含めて、マギーの心は追い込まれていきます。

マギーはクレイグの家を再訪しようとします。ところが、クレイグの家の前に、クレイグの弟のマシューがおり、マギーは二人から隠れてその場から逃げ出してしまいます。弟のマシューは、ドリーの見ていた写真に映っていた男性でした。

レイは、より男性らしくなるために筋トレを続け、体重が増え、徐々に新しい本当の自分になっていくことに歓びを覚えます。

マギーはレイに同意書に父親のサインがいることを打ち明け、レイは大きなショックを受けます。

レイはマギーに告げます。「それなら自分が両親から独立する」と。未だに母親から自立できないマギーは、レイの発言に、傷つきます。

決意をしたレイは、ひそかにスマホでクレイグの住所を撮り、バリカンで髪を短く刈りベリーショートにします。それは、レイの決意の現れでした。

レイは高校をサボって、マギーたちに内緒でクレイグの家へ。

クレイグは驚きながらもレイを迎え入れてくれます。

すっかり少年らしくなっているレイに、クレイグは複雑そうで、同意書へのサインも渋ります。

今はランチのために少し家に寄っただけ、というクレイグに、仕事を休めばいい、と、自分の切羽詰まった状況を打ち明けるレイ。

クレイグは、「子どもが病気だ」と電話をして会社を休んでくれます。

レイは思わず「僕は病気じゃない」と言ってしまいます。どこまでもぎこちない二人。

マギーは、学校からレイが通学していないという知らせを受け、パニックになりながら色んな場所に電話をかけ始めます。

やがて、クレイグがマギーに電話をかけ、マギーはレイを連れ戻しにいこうとします。ドリーとフラニーがそんなマギーを心配して、車を出してくれます。

マギーは運転しながら、マイペースなドリーにこれ以上かき乱されたくない、と気持ちを追い込まれ、トイレに行った隙に二人をガソリンスタンドに置いてクレイグの家へ向かってしまいます。



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『アバウト・レイ 16歳の決断』の結末(ネタバレ注意)

レイは、クレイグと、クレイグの妻、子どもたちと食卓を囲みます。

子どもたちから、レイのことを「パパのお友達?」と聞かれ、どうしてもレイを憎めないクレイグは、家族に打ち明けます。

「パパにはママと結婚する前、別の家族があった。その子どもがレイだ。」と。レイは子どもたちに自分のことを語り、「残念ながら、体と心が別で生まれたけどね」と告げます。

子どもたちは特に気にした様子もなく、「お兄ちゃん」と呼び、レイは嬉しそうです。

夜、マギーはクレイグの家に辿り着き、同意書のサインの話をします。

レイのことは別として、マギーの過去を許せないクレイグは「きみがマシューと寝たせいだ」、「自分は“彼女”の父親じゃない!」と。

クレイグは、レイの本当の父親はマシューだと言い、マギーとクレイグは口論になります。その会話を聞いてしまったレイは激昂して泣き叫びます。

「もうすべてがおしまいだ」「全部ママのせいだ」と。今までずっと自分を捨てた父親を恨み、母親と頑張ってきたのに、実は母親が諸悪の根源だったと知り、自分の出生に深いショックを受けるレイ。

マギーはレイをなだめようとしますが、レイの激情は止まりません。

レイをなんとか車に乗せ、ガソリンスタンドにドリーとフラニーを迎えに行くマギー。家族が暗澹たる気持ちのまま車は走ります。

若いころからの衝動的な行動は相変わらずありましたが、「レイを産んだことが、自分の唯一間違っていなかった選択」というほどにレイを深く愛し、トランスジェンダーのことも受け入れようとするマギーは、すっかり落ち込んでしまいます。

そんなマギーのもとにやってくるドリー。マギーは、「父親がマシューって知っていた?誰があの子を愛するの?」と問います。

ドリーは母親の愛情をもってマギーを抱きしめます。「私よ。私の孫だもの」と。レズビアンでありながら、実は保守的で、男性嫌いのドリーでしたが、娘と孫の危機を迎え、レイの決断をついに受け入れてくれたのでした。

やがて、マシューがマギーのアパートを訪ねてきます。動揺するマギーに、マシューは言います。

「自分を選んでくれたら、自分ならきみとレイを選んだかもしれないのに」と。レイを育てるために今も苦労しているマギーは「それはあり得なかったと言って」と、苦しい胸の内を抱えて拒否します。

そこに、学校からレイが帰ってきてしまい、二人の短い邂逅は終わります。

ドリーはレイを迎えにいきます。「たまにだけど私も判断を誤るわ、」「そろそろうちに男がいても良い」レイとドリーは仲直りをします。

クレイグが、マギーのアパートでマギーの帰宅を待っていました。

レイのことも含めて、すべてを受け入れる覚悟をしたのです。

そこにマシューが現れ、一瞬険悪なムードになりそうでしたが、マシューが自分の意志で来た、と伝え、クレイグは落ち着きます。

父親のサインが同意書に入りました。

家に帰ったレイにそのことをマギーが伝えると、レイは歓喜し、心から喜びます。

ついに、念願のホルモン治療が始まりました。レイは涙を流して歓喜し、マギーは

そんなレイを抱きしめます。

クレイグの家族やマシューが、和食レストランに集います。

そこに、レイやドリー、フラニー、マギーがやってきます。過去に後ろめたい気持ちのあるマギーは一人、化粧室でナーバスになっています。

レイはいつものように、スマートフォンでその場の風景を撮影します。

戻ってきたマギーを撮るレイに、マギーは恥ずかしそうに「やめてちょうだい」と言います。

しかし、レイは笑顔で、「自慢のママだ」と言うのです。自分を理解し、支えてくれたマギーの深い愛情を、レイは、理解していたのです。

普通の家族と形はすこし違うけれど、ようやく心の通い合った大家族の交流が、こうして始まりました。

End



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『アバウト・レイ 16歳の決断』の感想・まとめ

今をときめく女優のエル・ファニングが自らバリカンをもってベリーショートになり、トランスジェンダーの少年を演じるという体当たりの演技が話題になりましたが、公開が4年遅れてようやく日の目を見ることになった作品です。

LGBTの問題を深く掘り下げた映画、というよりは、原題の「3 gnelation」とあるように、3世代の家族と、3世代のジェンダーについて取り上げた物語、という印象を受けました。

主人公の苦悩より、母の過去の問題に多くフォーカスされているプロットになっています。

今、若手の一線で活躍するエル・ファニングの演技が体当たりで、ナイーブな16歳のレイを、とても丁寧に役に向かい合って演じています。

中性的で繊細さと天真爛漫さのあるレイを演じるエル・ファニングは、美しい少年のようです。この後に「ネオン・デーモン」で狂気に向かっていくモデルの美少女を演じるなんて、役の振れ幅があり、これからも期待の女優ですね。

特に、憧れの同級生の女の子に、女友達扱いしかされていないと知った時の表情に胸を持っていかれます。レイははまり役で、エル・ファニング以外考えられません。

主人公のレイに対して戸惑いながらも受け入れようとする人々がユーモラスにあたたかく描かれ、まさに、「子はかすがい」、となって、レイを起点に失われた家族が再び交流を取り戻していく様子は胸を温かくさせられました。

キャストでいえば、ナオミ・ワッツも相変わらず美しく、子どもを愛しているけれど、自分はなかなか自立できないまま、性転換を望む子どもの自立に戸惑う母親をリアルに演じていました。

この母親のキャラクター造詣は賛否両論が起こりそうですが、女性の特権にあぐらを掻いて、思慮の浅さからしっぺ返しをくらう、という人物で、彼女もまた社会的な性にまつわる問題に翻弄されてきた人物であり、そんな不器用な人間が子どものことは必至で理解して育てようとする姿に、わたしは心打たれるものがありました。

また、レズビアンの祖母役のスーザン・サランドンもさすが大女優の貫禄でした。祖母の恋人の女性・ゾーイー役のリンダ・エモンドも、ユーモラスで、見守るけれど干渉はしない、という大人の女性を見事に演じていましたね。

クレイグの息子がフラニーという名前だったのは、偶然ではないのでしょう。サリンジャーの傑作「フラニーとゾーイー」からきているのでしょうね。舞台もニューヨークですし。

ニューヨークの街をスケボーで疾走するレイと、そのレイによって生き生きと撮られるスマホによる情景。

おそらくで撮られたと思われるドキュメンタリタッチのレイの日記のような映像が、ところどころに挟まれて、生き生きしたレイの感覚をわたしたちに体感させられ、ゲイビー・デラル監督は映像で余白を語る演出を試みているように感じられました。

マイノリティに注目した映画が近年増えていますが、これからもそういったテーマの映画がもっともっと増えていってほしいと願います。